『コッホ先生と僕らの革命』ダニエル・ブリュール 俳優への道を後押しした教師の存在(cinemacafe.net) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120919-00000013-cine-movi


25歳で出演した『グッバイ、レーニン!』で世界的にその名を知らしめ、以降『青い棘』('05)、『サルバドールの朝』('07)などセンセーショナルな役を演じ、ドイツを代表する演技派として活躍の場を広げてきたダニエル・ブリュール。ドイツ映画に欠かせない存在である彼が、ドイツ・サッカーの礎を築いたコンラート・コッホを演じた『コッホ先生と僕らの革命』が先週末より公開となった。実は大のサッカーファンというダニエル、時代に新しいスピリットを吹き込んだ父を演じてみて感じたこととは――?

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19世紀末、母校にドイツ語と古典語の教師として赴任したコッホは、スポーツ教育の一環としてサッカーを導入する。普仏戦争後、サッカーの母国・英国に対する反発感情が一気に高まっていた粛清モードの中、当然この新たなスポーツが快く迎え入れられることはなかった。だが、このスポーツの根幹にある“チームプレイ”が気運を変えていく。この偉大なるコッホのことを「全然知りませんでした。サッカーファンとして、彼のことを知らなかったことは少し恥ずかしかったです…」と語るダニエルだが、何が彼をこの役へと突き動かしたのか?
「この映画は、実在する人物の歴史的な映画です。僕はそういう映画がすごく好きです。そして、実在する人物で一般的にあまり知られていない人物を演じるということはとてもエキサイティングなので、ぜひこの役をやりたいと思いました。彼はすごく共感できる人物で、すぐに好きになりました。19世紀末にパイオニアとしての役割を果たすということは、とても勇気のあること。当時のドイツは、保守的で古い体制に凝り固まっている時代ですから、新しいことを始めることはすごいことです。また、新しいスポーツだけを始めるのではなく、それまでの脅しをかける教育から子供たちが楽しめる授業をしようという教育者としての革命を試みました。自由でオープンで子供たちにとって良い教育を始めた人なんです」。

「サッカーは素晴らしい発明」と言うほど、大のサッカー好きを明かすダニエル。その魅力は、語り出したら止まらない。
「サッカーはヨーロッパでもアジアでも盛んで、“人を結ぶ力”がある。ヨーロッパ選手権があったときにも、スポーツバーなどテレビが置いてある飲食店で、作業員から社長までいろんな階層の人が一緒になって見るんです。また、サッカーは社会に対する不満を発散させる場になっているのがすごいところ。一週間に一回サッカーを見て発散させる機会をもつのですが、それがないともっと犯罪が増えているのではないでしょうか。若い頃は僕もサッカーをしていましたが、エゴイストの集団はいいチームになれないし、チームとしてまとまらないといけないと感じさせられますね。僕は、ベルリンにスペイン料理店を友達とオープンしたんですけど、そこでスペインリーグを全て見られるようにしました。僕がスペインリーグをドイツにもって来たんです(笑)。好きなチームはバルセロナ。バルセロナにいるときはいつも試合を見に行きますよ。バルセロナのスポンサーになっているビールメーカーのCMにも選手と一緒に出ています。なぜかっていうと、選手と一緒に出演できるから。それぐらいバルセロナが好きなんです。好きな選手は、リオネル・メッシ、ジェラール・ピケ…ほぼ全員! 香川(真司)選手が入団しなかったのは残念でしたね」。

自らの経験をもってサッカーに人を変える力があることを知っているダニエルだからこそ、この役に深い愛情と説得力を与えられたはず。“父”の真意を代弁する言葉にも力が入る。
「サッカーを通して、コッホはどの子供たちにも自分の居場所はあるということを伝えられたと思うんです。さらに、サッカーを通じて欠点がある子でも強みがあるんだということ、サッカーによってクラスが一つになるというチームでの達成感。それまでのように誰かを仲間はずれにして、常に誰かがアウトサイダーがいる、そんなチームはまとまりません。コッホは子供たちに学校は楽しいということ、そして学ぶことの楽しさを教えられたと思います」。

個の力を見出し、チームの結束力を高めていく。反発を恐れずに正面から子供たちとぶつかっていくコッホ先生はまさに教師の鏡と言えるが、誰にとっても(良かれ悪かれ)自身に影響を与えた教師は一人はいるはず。俳優・ダニエルにとってのそれは、俳優の道を開く存在となった。
「ドイツ語と音楽を教えていた先生です。実は、その先生が演劇グループを勧めてくれたんです。10歳か11歳ぐらいのとき、その先生の勧めで朗読コンテストに出場し、優勝しました。その優勝がきっかけで、ラジオの朗読を始め、それが私にとって初めての仕事となりました。ラジオ朗読をすることで俳優としての情熱に目覚めたので、その先生がいなければ俳優になっていないかもしれません」。

特集:『コッホ先生と僕らの革命』宣伝体験記
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