なるべくたくさんの方に見て頂きたい「危険なメソッド」。

いやもうヴィゴはね、完全にフロイトでした(フロイトの事は知らなくてもそう観客は信じさせられてしまう!)。もう私の中でフロイトの姿はヴィゴに変わりましたね。もちろん語るそのお声もヴィゴでしか思い浮かべることができませんよ。フロイトって、自分の中の野生を完全に飼い慣らし表に出ないようにしつけた静かなるアラゴルンだったんですね~~~。アラゴルンとフロイトを両立できる役者だからこそ、ファンはヴィゴに傾倒するのだと心底思い知りましたわ。いつかきっとアカデミー賞とってね! その演技力は誰よりふさわしいんだから!

そしてマイケルのユング。これはねー、見事としか言いようがありません。そもそもの脚本が素晴らしいんですが、演じたマイケルも撮ったクローネンバーグ監督も手放しの賞賛に値しますよ。

これね、「何故ユングがフロイトから離れたのか」ではなく、「何故ユングはフロイトに見限られたのか」という話になってるんだと思います。それは本当に些細な事が積み重なった結果だったのだけど(と観客は信じさせられてしまう)、その「些細」な部分を実に詳細に見せてくれるんですよね、マイケルとクローネンバーグ。そしてそれに対するフロイトの反応をヴィゴが完璧にやってのける。この二人の演技って、まさに言葉を使った真剣勝負のボクシングでしたよ。

と、記憶だと自分が好きな男性であるヴィゴとマイケルの事ばかりになるんですが、実際に映画を見てると彼ら二人がキーラちゃんの前では色あせるんですね。マイケルとキーラちゃんが一緒のシーンだと、マイケルの事なんか思い出すこともできなかったりするんですよ、実は。それでヴィゴと一緒のシーンのことばかり書いてるというのが実情だったりして。

そのくらい、この映画のキーラちゃんはスゴイ。ヴァンサン・カッセルの事なんか綺麗さっぱり忘れさせる程スゴイんです。さすが「パイレーツ3」でバルボッサに「何様だ?!」と詰め寄られてフフンと「王様よ!」と言ってのけたエリザベスだけはあります。あれ、監督もプロデューサーも脚本家も彼女のことよく分かってて描いたんですね。

なにとぞみなさんの地方でも上映がありますように! そして一刻も早いブルーレイの発売を!