『ブラック・レイン』松田優作さんから多くを学んだ…いぶし銀の俳優・國村隼が思い出語る(シネマトゥデイ) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121126-00000001-flix-movi


25日、故・松田優作さんの出身地である山口県で開催された第4回周南「絆」映画祭で映画『ブラック・レイン』が上映され、本作に出演する俳優の國村隼が、優作さんへの思いを語った。

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 いぶし銀の魅力でテレビ、映画、CMなどに欠かせない存在である國村のデビュー作は1981年、井筒和幸監督の『ガキ帝国』だった。それからおよそ8年後の1989年、俳優として無名だった國村は、リドリー・スコット監督のハリウッド大作『ブラック・レイン』に出演することになる。役柄は優作さん演じる佐藤の子分・吉本。「『ブラック・レイン』の制作費が公称で60億円と言われていて。片や『ガキ帝国』は1,000万円映画と言われたATGの製作。お金のかけ方は違うのに、両方とも映画として面白い。映画って不思議で、面白いなと思った」と振り返る國村。

 『ブラック・レイン』の現場は、一つの芝居を4つのカメラで撮影。それをサイズや構図を変えたりしながら、平均7テイクくらい撮影していたという。優作さんは國村との食事中に「俺はリドリーにお前のイメージはそれだけかと言われている気がするんだ。7つのテイクを撮るなら、7つのイメージを持ってこいと」とつぶやいたことがあったという。その言葉通り、優作さんはテイクごとに常に違った芝居を心がけていた、と國村は証言。

 さらにランチの時間、先に現場に行く優作さんを見送ったとき、その背中にものすごいエネルギーを感じた、と切り出した國村は「その時はもちろん、がんの事は知らなかったんですが、まさに鬼気迫るという感じだった。その時はこれくらいのエネルギーがないと映画って出来ないものなのかなと思っていたけど、今となっては、きっとあの背中って、病気との闘いとか、いろんなものを背負っていたんだろうなと思います」と述懐。松田優作という役者が命をかけて演じた姿を目の当たりにし、「命をかけるに値するのが映画だ」と感じたという。

 「時々、こんなとき優作さんだったら何を言うんやろうと考えたりする時がある」というほどに優作さんからは役者として多くのことを学んだ。「ずっと映画に関わりたいと思うきっかけになった映画だし、もっと言えば優作さんの遺作。僕にとってもこの仕事をする中で『ブラック・レイン』はエポックメイキングな作品なんですよ」と誇らしげな表情を見せた。