前評判も高いし、大好きな俳優&女優さんが大挙して出演しているというのもあって初日に駆け込んで見て来たんですが、いやもう素晴らしかったです!


もお~、どうしてキャストの皆さんそんなに

歌上手なの?!


しかもなにゆえ揃いも揃って皆さんそんなに

美声なの?!


普段聞き慣れた俳優さんや女優さんの声が、そのまま美しい歌声となってスクリーンから聞こえてくるのは鳥肌が立つくらいの感激でした。


この作品、セリフは一言もなくて、どんな言葉であってもそこにはちゃんと音符がついて歌になっているので、俳優さんは心の内の変化をそのままメロディーとし思いを歌として語っているのですよ。それは歌手が「さあ歌おう」と思って「歌う」のとは一線を画した、俳優さん達の素晴らしい感情の発露なのです。


それも全編に渡って浮き沈みの超激しいドラマチックな展開ですからね、感情表現もまさに嵐にもまれる小舟のように大波のてっぺんからどんぞこまで行ったり来たり。だからその激しさ、テンションの高さたるや並の映画、並の舞台の比じゃありません。言ってみれば現在絶賛放映中の「ジョジョの不思議な冒険」のアニメをぶっ続けて見るぐらいのド迫力と緊張感の高さですよ。しかもCMなし。


ワタクシ、最後の方はラッセル・クロウやヒュー・ジャックマンの怒濤のようにおしよせる感情の奔流に押し流されてわけもなく涙を流してました。「感動した」とかそういう言葉にできるような自らの裡に湧き上がる気持ちなんぞ軽く押し流されてしまう程の圧倒的な感情表現を、歌で、ラッセルとヒューがやってくれちゃってるのですよ。ラッセルなんてアカデミー賞とった「グラディエイター」の時以来の最高の名演なんじゃないかしら? ヒューはそして、さらにその上をいってました。私にダメおししてくれたのはアン・ハサウェイだったけど。もお、どおしてそんな風に歌えるの?!


そして喋ってる時はそうでもないのにうたうと超美声だったのがエディ・レドメイン。そんなに綺麗な声だったのかとびっくりしてしまいました。アマンダ・セイフライドは「マンマ・ミーア」で歌唱力を知ってはいたけれど、ここまで透き通るような高音の持ち主とは知らず、おみそれしましたって感じ。


彼らが歌で語りかけてくる心情があまりに赤裸々で胸を打つので、ただそれだけで涙が出るのですよね。も~、ファンデーションが涙でえぐられてスジになるからやめてってマジ思ったもん(←だから、私が心の中で考えてるのはこの程度のことなのに、泣けるのよ)。こんなにだらだら涙を流した映画はジェラルド・バトラーの「オペラ座の怪人」以来だわよ、これも俳優が歌うミュージカルですが。でも「オペラ座」の場合は見ている自分にファントムと通じる部分があるからそこが痛くて泣けるんだけど、「レ・ミゼラブル」の場合はまだどうして泣いてしまうのかわからないです。たぶん、本当に、ただ美しいから、ヒュー・ジャックマンとアン・ハサウェイの歌声とそこで表現されていることがあまりに美しいから、それだけで涙が出てしまうのでしょう。


本編が終わった時、映画祭でも特別上映でもないのに、自然に拍手が湧いてました。そしてそれまでしわぶきの音一つしなかったのに、そこで初めてあちこちからハナをすする音が聞こえてきたんですね。観客の皆様、私同様「泣く」のをこらえてただ涙を流すだけでガマンしてたのでしょう。だって、ヒューが歌ってる最中に物音なんてたてられないよ!


そういう意味では近来稀に見る上映中の観客のお行儀のよさは当たり前かもしれません(私語なし。無法ケータイ・スマホもほとんどなし)。最初から最後まで緊張の糸が途切れることなく、ピーンとはりつめたまま鑑賞できる幸福……それを作品の持つパワーそのものが実現させてくれたわけですね。


もはやスゴイとした言いようがないです、「レ・ミゼラブル」。メイクはウォータープルーフにして是非どうぞ!