希望みなぎる普遍的物語…映画「レ・ミゼラブル」を語る 東宝東和・松岡宏泰社長(産経新聞) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130112-00000141-san-movi
ヴィクトル・ユゴー原作のミュージカルを映画化した「レ・ミゼラブル」が公開されている。19世紀の仏を舞台に、パンを盗んだ罪で19年間、投獄されていた男の生涯を描く。同映画を日本で配給する東宝東和の松岡宏泰社長(46)が作品の魅力を語った。(橋本奈実)
松岡社長が、笑顔で切り出した。「運良く、大好きなレミゼ(レ・ミゼラブル)を配給することに。巡り合わせだと思いました」
1985年から英国でロングラン上演されるミュージカルの映画版。プロデューサー、キャメロン・マッキントッシュ氏をはじめ、舞台版のスタッフが結集し、舞台版の脚本を基に作られた。「英国王のスピーチ」でアカデミー賞監督賞受賞のトム・フーパー監督の受賞後初作品でもある。
松岡社長は撮影前、監督から印象的な言葉を聞いた。「これは古典ではなく、普遍的な物語だ。だから今やることに意味がある」。貧困と格差にあえぐ当時の仏市民の感情は今の世にも通じる、という考えに共感した。
製作陣のこだわりで、楽曲はすべて演技をしながら実際に歌ったものを生収録した。「ライブの良さを生かしつつ、映画の手法もうまく用いている」。ステージ上で物語が展開する舞台とは異なり、映画は広大な敷地で何百人も配した映像を見せることができる。「だから監督は徹底的に細部を掘り下げ、本物に徹すると話していた」と社長。
ロンドンの撮影所に、当時のパリの町並みを忠実に再現、困窮した人々をリアルに描く。主演のヒュー・ジャックマンは序盤の刑務所での撮影に向けて減量。薄幸の女性を演じるアン・ハサウェイは髪の毛を切る場面で実際にカットした。
昨年5月、撮影現場に行った社長は撮影済みの映像を見せてもらった。ハサウェイが「夢やぶれて」を歌う場面だった。「完成版とほぼ同じ。心が動きました」。同時に、ずっと本人の表情を追う映像の理由が知りたくて監督に聞くと、「表情のアップが最も感情を伝えると。映画技術を駆使したいところで、勇気のいる挑戦をした監督のすごさを感じました」。
現場では、ジャックマンの歌のリハーサルを見た。彼は喉を温めるため、2時間以上も前からトレーラーの中で声を出し続けていたという。
松岡社長は、昭和62年の日本公演初演を大学卒業前に観劇。以来、日米英で50回近く舞台を見た。「最初は男友達、結婚して夫婦、子供が生まれて家族と観劇。レミゼとともに育ってきた」。年齢や環境の変化によって見方も変わってきたそうだ。
今、映画にする意味-。それは東日本大震災後の日本での上映にも重なる。「頑張った人は報われるというテーマがある作品。明日への力、希望という言葉を恥ずかしがらずに言えるのが、この映画だと思っています」