いやもう、ビックリしましたよ、「アルバート氏の人生」見て、「キック・アス」のアーロン・ジョンソン君のあまりの美形っぷりに! これが本当にあのキック・アス~?! ってぐらい、そのハンサムぶりに度肝を抜かされました。
あ? ビックリするところ、違ってるって?
驚くべきはアカデミーにノミネートされてるグレン・クローズとジャネット・マクティアの変身ぶりでしょって?
う~ん、でもそれはテレビやインタビュー記事や動画でつとに知っていることだったので、さほどの驚きはなかったのね。スゴイとは思ったけれど、先に知ってしまっていたためにすでに一番重要な意外性というものは失われていたのですよ(もし何も知らずに見ていたら、それは驚愕したことでしょう。特にジャネット・マクティアの方。だからもしまだこの映画を見ていない方で、映画見て心底ビックリするのを望まれる方がいらっしゃるなら、上にリンクはってある公式サイトも映画館のチラシも一切見ないことです。それが一番映画を楽しむ手段ですよ)。
ワタクシとしてもなるべくこの映画に関する前知識は仕入れずにいたもので、アーロン君が出ている事は知らなかったんですよね。だから彼の登場シーンを見た瞬間、頭ブン殴られたぐらいの衝撃を受けました。だってあまりに美男子だったんだもん(←しつこい)
「キック・アス」でキック・アスをやっていた頃から、彼って実はハンサムだとは気づいていました。あの、笑っちゃうしかないようなデザインのキック・アスーツというかジャージを着てさえ滑稽にならない程均整のとれた見事なプロポーションにも一目おいていましたよ。さらに『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ 』でのジョン・レノン役も印象に残っていたし(その監督と結婚して今は二児の父ということも)、ついでに「アンナ・カレーニナ」の予告で見たうヴロンスキー伯爵の美丈夫ぶりに感心したのもつい最近のことだったのです。
けれど、「アルバート氏」の登場シーンのアーロン君の美しさは、まさに圧巻! 身につけている衣装が均整のとれたプロポーションを際だたせ、ヘアスタイルが整った顔をひきたてて、思わず劇場の椅子から腰を浮かせるぐらいの衝撃的な美でしたね。その時の表情がまた彼にぴったりだったのかもしれません(ちょっと不幸な状況)。
なんていうかね、主人公のアルバート氏の生活ぶりが淡々としてるのでもひとつインパクトに欠けるんで、アーロン君の圧倒的な美青年ぶりを映画のつかみにもってきたんじゃないかと思いましたね。だって、その後も彼はずっと出てくるわけだけれど、冒頭部ほどの美形ぶりは後半にはないもの。ほとんど「レ・ミゼラブル」でジャン・バルジャンが登場するシーンに匹敵するぐらいのつかみっぷりですよ、冒頭のアーロン君の他の追随を許さない美しさは。
その美しさと危うさは絶対物語に深く関わり、主人公の存在を脅かすものになるに違いないと確信を覚えるほど! だってこの映画で一番美しい人物は、紛れもなくアーロン君でしたからね。作品に花を添える存在といってもいいでしょう。
はい。
そのぐらい、オスカー主演と助演女優賞ノミニーのお二人には花がないのでございます。ええ、役柄上しょうがないのですが。
あと、「ジェーン・エア」のミア・ワシコウスカちゃんも出てて相変わらず可愛らしかったですが、如何せん、美形度ではアーロン君の方が上。ミアちゃん、メイド役なので衣装と髪で損をしてる部分もありますが、とにかくこの映画でのアーロン君美しさは群を抜いているのですよ。
「キック・アス」では冴えないおにーちゃんだったのにねーーーーー。
あれも演技なのね~、ヘアスタイルと衣装の違いもあるにしろ。演技力も立派なものよね、アーロン君。賞レースじゃ黙殺されてるけど。
まあグレン・クローズの演技力は、今更なにをか言わんやで、特殊な境遇にあるアルバート氏へのなりきりぶりはそれは見事でありました。見事すぎて、見ているとせつなくなります。
ストーリーの概要をちょっとだけ語りますと、長い間ただ生きるためだけに仕事をしてきたアルバート氏が、あることをキッカケに人生に対して夢を抱き始める事から物語が展開していくんですよね。。この「夢」というのが、なんと申しましょうか往年の名作マンガ「めぞん一刻」の五代君が抱く妄想とほとんど同レベルというのが、この映画のおもしろい点なのでございます。
そう、おかしいんですよ、この映画。途中、随所に笑えるシーンが用意されてるの(主にグレン・クローズの演技力による)。
でもコメディではない。
当時の世相を反映してるのか、基本的に辛くて悲しい話です。だからアカデミー会員には受けがいいのかもしれないけれど、何度も見たくなるような作品ではありませんでした。アルバート氏の生きる姿が滑稽であればあるほど、胸をしめつけられるような悲しみに観客はおそわれるのです、特に女性はね。
これは一体何を訴えたかった作品なのでしょう?
その時代、そういう生き方しかできなかった主人公でも、ほんのちょっと夢を見られただけ幸せだったと言いたいのでしょうか? だとしても、私にはよくわからなかったです。
作品としてはテンポよく、飽きることなく見られるのですが、でもそれで現代に生きる私たちにどうしろと?! って感じなんですよね。アルバート氏の滑稽さを、つっぱなして笑いものにして終われればいいのかもしれませんが、そういう作品でもないんですよね。結局、その時代(のダブリン)がいかに女性にとって生きにくい世の中だったかを切り取って見せただけのような印象なのです。
もっとも男性として生きてきたアルバート氏にとってもそれは同じ事だったわけで、男でも女でも社会的弱者というのは切り捨てられると言いたかったのでしょうかね? そういう人々を踏み台にし、食い物にする人間がいい目を見る、みたいな。それは大変現代的なテーマですが、実は見ていても全く嬉しくないテーマでもあるのですよね。
というわけでオスカーノミニーの二人の演技は見事で、でもそれ以上に見るべきものはアーロン・ジョンソン君の美貌だったというのが私の感想でございます。あ、ジョナサン・リース・マイヤーズがピッタリな役で出てました! 彼って、ちょっとアーロン君と面差しが似てるのね、と二人を見て思ったことです。この映画の中では若い分アーロン君の方が美男度において勝ってました。
何をおいても、この作品でも衣装がほんとに見事! ミアちゃんをはじめとするメイドさん達の衣装もさりげなく凝ってて可愛いのですよね。メイドさんもプライベートな時は私服ですごすというのが大変よくわかる映画でもありました。