先週は他に「フライト」と「王の男」と「オズ」も見たんですが、最後に見たこの「ジャッジ・ドレッド」が一番よかったです。今の自分の気分にぴたっとはまったというかね、見ながらも見た後も深いこと何にも考えなくて済むからうんと楽というべきか。
映画の評価って、結構その時の気分に左右されますから、最近なにやらイライラもやもやをいっぱい抱え込んでた私にとってこの「ジャッジ・ドレッド」の「邪魔するヤツは皆殺す!」的な無敵で真面目な昔ながらの正義ってヤツは実に爽快だったっす。
そうなんですよ、これ、一応未来世界を描いたSF作品ってことになってますが、根底にあるものは昔ながらの古臭~い正義感が登場する、いわば西部劇的な内容なんですよね。ヒーローがあーだこーだと悩み始める前の、正義と悪がすっぱりわかれていた時代の映画の再現とでもいうべき作品。
西部劇風といえばタランティーノの「ジャンゴ」も公開中ですが、こ~れは何故か見る気になれず。タラちゃんって、本人もそうだけど映画もよく言って「饒舌」、普通に言って「喋りすぎ」、悪く言うなら「いつまで自慢たらしく自分のことばっかくっちゃべってんだオメ-!」なので(それが巧みなのでクリストフ・ヴァルツがオスカー貰ってるんだけどさ)、こちらも絶好調の時じゃないと彼の「表現力」に疲れちゃって身も心も保たない、というのがあるんですよね。台詞回しがどんなに上手くても、汚い言葉は聞いて、かつ字幕で見てるそれだけで心が萎えるものなのよ。
実は西部劇風と書いて思い出したんですが、テイストとしてはジョン・カーペンター映画に近いものがあったかもしれません、「ジャッジ・ドレッド」。「要塞警察」とか「ニューヨーク1997」、或いは「エスケープ・フロム・LA」。これらの作品では主人公は悪党ですが、心の底から悪い奴ではないわけで、国の法には従わないけど自分自身のルールはしっかり守るというタイプ。で、本来は牢屋の中に居るべき彼らが緊急時には法を守る側と共にもっと悪い奴らと戦うというのが基本コンセプト。うん、ほとんど同じだね。
「ジャッジ・ドレッド」の場合、ジャッジ達は完全に法を守る側なのですが、これは未来の話なので現行法とは全く違い、犯人逮捕の際にジャッジ自身が判決もくだしてしまえるので、それが死刑ならそのまま執行してしまえる……すなわち犯人の罪の程度に応じてその場で即殺せるわけです。ジャッジに銃を向けようものなら即死刑。だから法を守りつつも、刃向かう奴らはガンガン殺せちゃう♪ 私が昔々の西部劇の保安官に対して保ってるイメージ、ほぼそのまんま。
ただ「ジャッジ」は未来という設定なので、一応物的証拠も揃えます。現場で採取した指紋やDNAや録画データ等を瞬時に中央に転送し分析官にコンピューターで解析して貰った結果で犯人を特定するという作業もあるようです。言ってみればジャッジはCSINYのマックとCSIマイアミのホレイショが合体してロボコップスーツ着たようなもんですな。いや、着てるのはジャッジの制服(?)なんだけど。
「CSI」シリーズや「クリミナル・マインド」を見てるとどれだけ悪事の動かぬ証拠を揃えても、ほんのちょっとのミスや弁護士の汚いやり口で裁判で無罪を勝ち取る悪人というのが少なからずいて、彼らの存在に激しい憤りとやり場のない怒りを感じるわけですが、「ジャッジ・ドレッド」はそういう鬱憤全部晴らしてくれますからね! いやもうホント、爽快だったらありゃしません♪