さてこの「ジャッジ・ドレッド」、同名のスタローン主演作品のリブート扱いだったと思いますが、設定はともかくストーリーは完全に別物。原作のコミックにはこちらの方が近いのでしょうか。



あらすじを知りたい方は公式サイト で読んで頂くとして、基本コンセプトは上にも書いたように「周り全部が敵という一種の閉鎖状況に追い込まれた主人公達の命がけの脱出劇」です。穴掘って逃げるわけじゃないのでね(それは「大脱走」)。


同じコンセプトの作品で最近見たものとしては「ロックアウト 」と「ザ・レイド 」、それに「ロンドンゾンビ紀行 」が挙げられますが、一番近いのはやはり「ザ・レイド」ですね。ビルの規模と住民の数こそ違え、ボスの鶴の一声ならぬ館内放送の号令一下、まわり全部が敵になるというあたり、そっくりとさえ言えます。描写の凄惨さ、先の読めなさにおいてはインドネシア映画の「ザ・レイド」の方が一歩先を行ってるかもしれません。


でも!

「ジャッジ・ドレッド」には「ザ・レイド」に全然感じられなかったものがしっかりあって、その存在が映画全体をも妖しく彩っているのですわ。


それは、女っ気。


「ザ・レイド」にはそもそも女性がほとんど出てこないのですよ。ストーリー上当然なんですが、あんまりにも画面がオトコオトコしてると(しかも殺し合いばっか)、女性としては少々見ていて飽きる部分があるんですよね、華やかさに欠けるというか。用もないのに紳士服売り場に迷い込んだ時のような単調な色彩にうんざりするというか。鮮血の赤い色だけはたくさん飛び散るものの、それだけじゃねえ~! 


その点、「ジャッジ・ドレッド」はメインの悪役、組織のトップ、最初っから出てるけど言わばラスボスが女性ですからね! これは燃えます!! 戦いが他人事じゃなくなります!!!


あ、なんかね、女性って男同士が戦ってるのを見てるとね、最終的にどうでもよくなるのね。どうぞ男同士の世界で決着つけて頂戴、私関係ないからって感じ。例えて言うなら三池崇史監督描く映画の世界。最後は男達だけの間で物語が完結してしまって、女性達はよくて飾りでおおむね蚊帳の外。「忍たま乱太郎」なんて、食堂のおばちゃんまで男性(古田新太)が演じてたもんな。


それに比べると「ドラゴンボール」はメインに可愛い女性キャラがたくさん出てきて、しかも有能だったり強かったりして活躍してくれるじゃないですか。ストーリーの展開と共にカップルになって、結婚して子どもも産まれて……って、きちんと作品の中に女性の居る場がある。そういう方が女性はやっぱり感情移入しやすいし、見ていても楽しいものです。


で、「ジャッジ・ドレッド」は「ドラゴンボール」に近いんです。組織の親玉(人呼んでママ)だけじゃなく、ジャッジ・ドレッドが連れて歩くジャッジ候補生も女性なんですもの。さらに燃えるぜ!!!!


実はメインキャストはこの3人なので、2名いる女性の方が比率としては高いんですよね。ジャッジの上役も女性だし、暴言以外のセリフのある役は女性の方が多いのかも。あとは女ボスの手下数名含めて男はみんな雑魚キャラやられ役。どうです、女性が見ても小気味いいでしょ♪ ま、展開は「ザ・レイド」とどっこいどっこいの殺伐としたものなのでお勧めはしませんけどね。