「愛・アムール」「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」「ジャンゴ 繋がれざる者」と、どれも副題含めてタイトルの映画3本、この順番でほぼぶっ続けに見て参りました。


これら3作品はいずれも今年のオスカー受賞作ですが……ま、あたしゃこれらよりは「ジャッジ・ドレッド」の方がよっぽど好きですな。これ、先日の強風で電車が止まったせいで2度目の鑑賞できなかったんですが。来週リベンジしてやる!!(←落ち着け)


さて、私の好みはさておき、どの作品もさすがにオスカー受賞、或いはノミネートの栄光に輝くだけのものはあると思いました。中でも一番良かったのはやはり「ライフ・オブ・パイ」。これが最多受賞作だったことに深く肯いて帰って来ましたわ。アン・リーが監督賞をとれたのはベン・アフレックがノミネートされなかったおかげなのかもしれないけれど、それさえも様々な事象、事態が複雑に絡み合う運命の糸の中でたまたまもたらされただけなのだと、この作品を見た人は思うかも。作品賞でもよかったんじゃないかと思いましたが、こちらをベンに進呈しなければならなかったので、監督賞が振り分けられたんでしょう。


この作品の何がいいって、生きる希望を語っていることですよね。


この前に「愛・アムール」を見て、当初の予想通り気が滅入っていたので、続けて「パイ」を見られてラッキーでした。その後の「ジャンゴ」は……長かった! 「パイ」を見ることによって得られた輝きが血しぶきと爆発の炎でかき消されてしまったわ。トラよりもタラの方がよっぽど凶悪だわよ。


ワタクシ、これに関してクリストフ・ヴァルツの助演男優賞受賞には全く文句がないのですが、タラちゃんの脚本賞はどーなの? って感じはありますね~~。まー、タラちゃん、アカデミーに愛されてるってことですか。悪童の方がいい子より可愛いというのか、或いはアカデミー会員はタランティーノをかっているんだよというところを見せつけて懐の深さを見せつけたいのか、それとも単におもしろがっているのか、或いはアメリカ人が密かに恥じている部分を取り出して、それを物語の中でちょっとは誇れることもあったと思わせエゴをくすぐってくれる彼の手腕に一目おいているのか……そういうものがない交ぜになって、丁度いいバランスをとっている位置に彼は上手くのってるんでしょうね。


これに対して「愛・アムール」の方は、アカデミー会員も自分達の老いや介護の実態について考えているんだよというポーズの現れだと思いました。まあ避けては通れないものを直視させる映画とか、人生の底知れない辛さ深さ暗さを根掘り葉掘り訴える作品って高い評価を得がちなんですが、私には何がいいのかさっぱり分かりません。どこがいいのか分からないのに、「愛・アムール」は見ている間何故か退屈しないんですよね。この、ちっとも見たいわけではないのに見させ続けさせられてしまうパワーに圧倒されてしまったので、本作が外国語映画賞を受賞したことにも納得したのです。


同じものをドキュメンタリーで見せつけられるよりはずっと綺麗だったしね、「愛・アムール」。映像美はさすがでした。身体の不自由さを壮絶に表現しつつ、なおかつ美しさも失わず演じぬいたエマニュエル・リバが主演女優賞にノミネートされたのは当然だと思いました。同じ演技をメリル・ストリープがしていたら、メリルがとったことでしょう。


映画の個別の感想については、別記事で。