「フッテージ」公式サイト


「リング」、「パラノマ」、「シャイニング」、&「オーメン」に「死霊のはらわた」というと見ながら私が震え上がったホラーの傑作の数々なんですが、それらの要素をちょっとずつ詰め込んで、それでいて新しいタイプのホラーに仕上がってました、「フッテージ」。いやもう、これだけの名作から「恐さ」のエキスをすくい取って一つにまとめた映画なんだから、どっちに転んでも超絶恐いのは当たり前!


しかも「13日の金曜日」のジェイソンや「ハロウィン」のマイケルといった殺人鬼ものホラーでは基本一回一人の殺しだったのに対し、「フッテージ」の場合は一回一家惨殺ですからね、その凄惨さにおいて一歩抜きんでておりました。


しかもいちいち家族揃っての楽しい時間を過ごしているシーンを事前に見せておいてから、その醜悪なパロディーという形で一家をまとめて殺しているシーンをフィルムに残して見せつけるという形ですから後味の悪いこと! 一体どれだけ幸せな家族に対して恨みが深いんだこの監督は、とか思っちゃいましたよ。


でも実は恐いのは殺人のシーンではないのですね。いや、確かにそれらのシーンもすさまじいのですが、それらは実はホラー的な恐さではないのですよ。それらの殺人そのものは、陰惨でサディスティックではあっても「犯罪」のレベルですから。恐いのは、それをフィルムに撮影して「ホームムービー」とか名付けてしまうその精神性。そしてそれを見ることに一種取り憑かれてしまう主人公。このイーサン・ホーク演じる主人公を通じて物語りの謎が解き明かされるのかと思ったら全然そうでもなく、事態が悪い方へ悪い方へと止めようもなく進んでいくのが見ていて一番恐かったです。


意外とね、ジェイソンとかマイケルにあたる殺人鬼の方は冷静に見るとそう恐い外見というわけでもないんだわ。でも演出が上手いので映画見てるとあちこちで「ひっ!」とか言って飛び上がっちゃうんです。ホラー的なひたひたと迫る恐怖と、ここぞという箇所で繰り出されるショックシーンの相乗効果で「フッテージ」は大変恐いホラー映画となっているのでありました。


後味は大変よろしくないんですが。このいや~な感じはいつまでも残りますね。あ~、ヤダヤダ。