えっと、もちろん制作のサム・ライミの好みも如実に反映されておりますので、「死霊のはらわた」に近いものもあります。描写じゃなくて展開の方ね。
(この下、ネタバレ)
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「死霊のはらわた」ってーと、人里離れた山小屋でうっかり悪霊を呼び出しちゃった若者グループが、一人また一人と悪霊に取り憑かれておかしくなっていく――というパターンなんですが、この場合の「取り憑く」は「体をのっとられる」というのに近いんですね。この「体をのっとられる」イメージは時代と共に鮮明になってきていて、リメイク版の「死霊のはらわた」だとヒロインがセリフで完全にそう言っております。「ポゼッション」もそうなんですが、「自分の体の中に別の何かがいて、それが自分の体を操っている」という具体的な現象があって、それが恐怖の対象になるわけです。
で、「体の中に」その別の何かが「いる」ということは、その「別の何か」がいわば「実体を備えている」ってことなんです。外部からの操作で精神を操られているのとはそこが違うんですね。目に見えないものであれ、霊魂のような言ってみればこの世に存在しないはずのものであれ、自他を明確に分けるものがきっちり存在している。自分の一部ではないとはっきり認識できるものだからこそ、それを異質なものとしてとらえ、「自分の中に自分ではないものが存在する」と明言できるわけです。
この「自分の肉体の中に存在する自分でないものの恐怖」というテーマがサム・ライミは好きなんですな♪ それも「自分でないもの」をはっきり「異物」として追い払ってしまうというのが基本。「スパイダーマン」の場合はピーター・パーカーと蜘蛛が遺伝子レベルで混じり合っちゃったのでそれができなかったんですが(まあ、ホラーでもなかったし)、シリーズを離れた今、存分に祓えるのを喜んでいるのではないでしょうか。
と思ったのが「ポゼッション」だったのですが、映画見てて思ったのはね、これ「ドラゴンボール」に出てくる魔封波使ったら一発で解決じゃない? だったんですね。ほら、ピッコロ大魔王を電子ジャーに封じ込めてたヤツ。「ポゼッション」の箱って、この電子ジャーにあたりますからね。何も複雑な悪魔祓いの儀式やらなくても、悟空つれてきて魔封波かけたらそれですんだのに、等と見ながら考えてました。
まあ、ネタを明かせばそんな話だったわけで……いや、おもしろかったんですけどね、目新しさはそんなになかったかな。