佐藤健、フラットな感性貫く 映画「リアル」主演(産経新聞) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130614-00000130-san-movi
もし愛する人の潜在意識の中に入ることができたら-。「怖いけど知りたいし、(自分に)入られてもいい」。澄んだ瞳でまっすぐ相手を見て話す。「完全に心を開き、何でも分かった上で付き合う。それはそれで僕はありですね」
彼が綾瀬はるかと主演した映画「リアル~完全なる首長竜の日~」(黒沢清監督)が公開中だ。自殺未遂で昏睡(こんすい)状態の恋人(綾瀬)を目覚めさせるため、浩市(佐藤)は先端医療を使って彼女の脳内に入り込む。そこで現実と仮想が混じる意識の中をさまよいながら、恋人が幼い頃に描いた首長竜の絵の謎と、その衝撃的な真実にたどり着く。
「一気に読んだほど脚本が面白く、黒沢監督作ですし、余計なことをしない方が映画が面白くなる。シンプルな芝居をしたいと」。監督から「自然に演じてください」と言われ、自分の方向性が正しいと確信した。
演者の感情が役柄ににじむべきと考える監督は、役の解釈に関して具体的な指示をしない。「特に意識下での芝居は何でもありですから。自由にやっていけるけど不安にもなる」
速いペースで進む撮影。映画初共演の綾瀬と「これで大丈夫かなとか、監督は僕らを見放してないよねと確認していた」と笑う。その自身の不安が、追い込まれていく役柄と重なり、プラスに働いたという。
恋愛がベース。それを踏まえた上で彼は、愛しい人の“リアル”を知ることの不安を重要視した。「自分がこうだと思っていた人が、そうではない。怖さで心がボロボロになったときどうなるのか」。熟考し悩んだ末、波立つ心を抑えたフラットな芝居に徹した。
「過去を乗り越えるというテーマも潜む。色々な楽しみ方ができるので、理屈ではなく、心で感じて」
昔から「本を読むと映像が浮んだ」少年は、中学時代にドラマを見て、職業として俳優に憧れた。
17歳でデビュー後、「仮面ライダー電王」主演、「ROOKIES」「龍馬伝」出演、主演映画「るろうに剣心」とキャリアを重ねてきた。
「レッスン時から芝居が好き。最初は現場で何もできなかったが、やりたくないと思ったことは一度もない」
その理由は「集中しているから」。芝居時は必死で楽しさは感じないが、終わった後の高揚感がいいという。「人が楽しいと思うのは集中しているとき。小、中学時代にした野球もそう。外野はたまに集中していないけど。僕? センターでした」と笑わせる。
何事も芝居に生きる。特技のダンスは、体の使い方や自分の姿を鏡で客観視したことが役立った。「もともと、性格も客観的かも」。大好きな仲間とおいしい食事と酒を楽しむ時間が一番好きという青年は、フラットな感覚を大切に役者の道を歩む。