『スター・トレック』悪役の正体は…脚本家が明かすストーリーテリングの極意(シネマトゥデイ) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130623-00000004-flix-movi


人気SFシリーズ最新作の映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』の脚本家であるアレックス・カーツマンとデイモン・リンデロフが、続編ならではの醍醐味(だいごみ)を明かした。本作ではベネディクト・カンバーバッチ演じる悪役ジョン・ハリソンの存在が話題を集めているが、それも脚本家の狙い通りの戦略だという。

映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』場面写真

 アレックスとデイモンはJ・J・エイブラムス作品の常連脚本家であるとともに、『スター・トレック』シリーズではプロデューサーも兼任している。続編製作にあたってはさまざまなアプローチを試したといい、アレックスは「『エイリアン2』『ターミネーター2』……全ての優れた続編に共通するのは、主人公が自らの存在意義を問うために、チャレンジするということなんだ。だから、この作品でもそうした面を強調したよ」と明かす。

 そんな本作のキーマンとなるのが、ベネディクト・カンバーバッチ演じる悪役ジョン・ハリソン。彼の存在がエンタープライズ号を脅かし、カークにある決断を迫ることになる。「ばかげているように聞こえるかもしれないけど、僕たちが『スター・トレック』で大事にしたのは、いかに観客にエンタープライズ号のクルーになってもらうかということだった。クルーの知っていることは観客も知っているけど、クルーの知らないことは観客も知らない。ジョン・ハリソンがその典型例だ。ベネディクトをキャスティングしたときから、いや悪役が出ると発表されたときから観客は『こいつは誰だ?』と思っただろう? エンタープライズ号のクルーも同じ疑問を持つんだ。実際、劇中でもカークとスポックは『こいつは誰だ?』と口にするよ」とはデイモンの説明。

 ただし、「スター・トレック」はシリーズ第1作のテレビドラマ「宇宙大作戦」から数えれば40年以上の歴史を持つ大河シリーズ。「トレッキー」と呼ばれる熱心なファンも世界中にいる。「ファンによってはクルーよりも多くの情報を知っている。だから、そこが僕たち脚本家の腕の見せどころなんだ。シリーズの歴史をリスペクトしつつも、いかに観客への情報を限定するか。それに成功していれば、シリーズファンにも何らかの新しさを感じてもらえる作品になっていると思うよ」とデイモンは自信をのぞかせた。

 2009年に前作『スター・トレック』を発表したときのことを振り返り、「ファンの間でも賛否両論があったことに驚いた」と明かした二人。そのため本作ではシリーズのファンをことさら意識するのではなく、「『スター・トレック』のどんな要素が現代の観客に受けるのか」を第一に考えたという。その答えが『スター・トレック イントゥ・ダークネス』。日本の観客がどう反応するのか? 脚本家もわくわくしているに違いない。(編集部・福田麗)

映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』は8月23日より全国公開