それは私、とデイジーが言った(ちょっとマザーグース風を気取ってみました)
ようやく見て来た「華麗なるギャツビー」、想像を遙かに上回るおもしろさで大満足でした。なにしろ昨日見た「アフターアース」のストーリーが「物語」と呼ぶにはあまりにシンプルすぎる筋立てだったので、今日見た「ギャツビー」の話が輪をかけてドラマチックに見えるというものです。いや、さすがに文学作品の映画化だわ~という満足感、メチャ高ですね。私これまで原作を読んだことも過去の映画化作品を見たこともなかったので、きっと余計に楽しめたんだと思います。バズ・ラーマンってやっぱり名匠だわ~♪
ところで、どうして今まで「ギャツビー」を遠ざけていたかというと、どうもこの、ヒロインであるデイジーが最低の女であると聞きつけていたからで……映画見た人も小説読んだ人も皆口を揃えてそう言うのよ。ちなみに全員女だけど。そこまで女に嫌われるヒロインの出てくる作品なんて、見たくも読みたくもないわと思っていたんですね。
で、初めて見る「華麗なるギャツビー」のデイジーは……噂に違わぬビッチでした。何なの、あのクソ女?! 演じたのが「ドライヴ」のキャリー・マリガンじゃなかったらもっとクソミソに言ってたと思う。キャリーのもっている幼くて無垢で儚げな雰囲気があって、初めてデイジーが何をしても大目に見て貰える存在であることがリアルに伝わったんじゃないかと思いました。キャリー・マリガンは、自分が魔性の女であることに気づいてない(ふりのできる)究極の魔性の女かもしれないわ。演じたのが彼女じゃなければデイジーをもっと憎めたはずなのに。何をしても許される存在って、ある意味最強かも。
そして「タイタニック」から何年たっても、やっぱり上流のお嬢様に恋をして運命を翻弄される役が似合うレオナルド・ディカプリオ! どすこいなケイト・ウィンスレット同様はかなげなキャリー・マリガンも守り抜いたけど、報われなかった感は「ギャツビー」の方が大きいです。レオ君の美しさを発揮させるのには悲恋が一番とはいえ、「タイタニック」に比べてちょっとあんまりじゃないかとは思いましたね、ギャツビー役。でも満を持して初めてスクリーンに姿を現す際の「ラプソディー・イン・ブルー」の使われ方には感動しちゃいました。これぞバズ・ラーマンの才能のなせる技! この登場シーンは「タイタニック」で最後に登場する時のあの感動にも匹敵しますわ。
ギャツビーの「友」役のトビー・マグワイア、彼は実生活でもレオ君と親友だそうですが、これは「アフターアース」と違ってよい方向に働いていたと思います。トビーも「スパイダーマン」で一世を風靡した大スターですからレオ君と立場が対等のはずではあるんですが、彼のね、ちょっと一歩退いた感じがニック・キャラウェイという役にピッタリ合ってるんですよね。トビーは「スパイダーマン」でも蜘蛛に噛まれてパワーを身につける前はやっぱり一歩退いた「カメラマン」という傍観者の位置にいたわけですから、実際彼には似合いの役だったのだと思います。正義感や友達思いの優しさもそのままだったし。トビーの演じたニックが存在することで、「華麗なるギャツビー」って随分救われてるんだなと思いました。
もう一人、トム・ブキャナン役のジョエル・エドガートン、この方、最初に名前を覚えたのが「キンキーブーツ」の冴えない跡取り息子だったせいか軟弱な印象を抱いていたのですが、どうしてどうして結構な肉体派だったりするのですよね~~~。去年は「遊星からの物体X ファースト・コンタクト」で見たと思ったら今年は「ゼロ・ダーク・サーティ」だったのに、その上「華麗なるギャツビー」って、役柄広すぎますわ、たいしたもんだ。鼻持ちならない金持ち役を、イヤミになりすぎないように演じつつカタキ役としての存在感もしっかり示すという難しい役柄をスルリと演じてました。
これら名優に加え、素晴らしい衣装にヘアメイク、超高級なアクセサリーに調度品、それに最高の音楽と、どれ一つとっても美しくないものはないという、見ているだけで幸せになれる映画、それが「華麗なるギャツビー」でした。ホント、「華麗なる」というタイトルに恥じないわ。今回2Dだったけど次は3Dで見なくてはね!