「スポック役は大きな贈り物」ザッカリー・クイントさんインタビュー(読売新聞(yorimo)) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130822-00010000-yorimo-movi
宇宙船「USSエンタープライズ」の乗組員たちの活躍を描いた人気SFアクションの最新作「スター・トレック イントゥ・ダークネス」が8月23日(金)から公開される。世界的ヒットを記録した前作「スター・トレック」(2009年)に続いて、「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」のJ.J.エイブラムスが監督を務め、カーク船長(クリス・パイン)らエンタープライズの乗組員たちが、地球を危機に陥れる謎の男ジョン・ハリソン(ベネディクト・カンバーバッチ)と死闘を繰り広げる模様を壮大なスケールで描いている。エンタープライズの副長スポック役を演じたザッカリー・クイントさんがこのほど来日し、作品の魅力や役柄への思いなどを語った。
――前作に続いてのスポック役ですね。
クイントさん:前作を撮り終えた後、またすぐにでも2作目でスポックを演じたいと思っていたのですが、J.J.のスケジュールの都合で、前作から4年の歳月がたってしまいました。ただ幸いにも、その間、色々な作品に出演して経験を積み、俳優として成長することができました。その成長が今回の作品にも生かされたと思っています。
――前作が世界的にヒットし、クイントさんも注目を集めたことで、「2作目も成功させなければいけない」というプレッシャーはなかったですか?
クイントさん:作品の規模も前作より大きいし、もちろんプレッシャーのかかるところではあったけれど、プレッシャーや不安よりも、再び「スター・トレック」に出演できるという喜びと興奮の方が勝っていましたね。
――「スター・トレック」と言えば、1966年にテレビドラマの放映が始まって以来、たびたびドラマ化、映画化され、世界中で根強い人気を誇っています。「スター・トレック」シリーズの魅力とは何だと思いますか?
クイントさん:「スター・トレック」の物語には、原作者であるジーン・ロッデンベリーさんの「人類に対する信頼」が貫かれていて、その精神が多くの人々に影響を与えていると思います。エンタープライズには、出身地や人種の異なる乗組員たちが集まっています。そんな彼らが一丸となって、地球のため、宇宙のためにより善き行いをする、というコンセプトが素晴らしいし、それは、今の世の中においても、とても大切なメッセージだと思う。僕自身、「スター・トレック」シリーズの一部を担えることをとても幸せに感じているし、僕も「人類は、地球のため、宇宙のために善き行いができる」ことを信じたいですね。
――「スター・トレック」のキャラクターの中でも、地球人と異星人の間に生まれたスポックはとりわけ個性的で、知名度の高いキャラクターです。そうした役を演じることは、俳優としても大きなチャレンジだったのでは?
クイントさん:スポックと言えば、世界で最も有名なキャラクターとして、ミッキーマウス、イエス・キリストと並び称されるくらいですからね。そう考えると、スポックを演じるということは大変なことだと思うし、大きな贈り物をいただいたような気持ちです。スポックを演じることで、(初代スポック役の俳優)レナード・ニモイ氏と親交を築くことができました。スポックという役がニモイ氏の人生に大きな影響を与えたように、スポックを演じたことが僕の今後の人生に影響を及ぼすでしょう。ただ、僕の個人的な思いとしては、スポックは世界的に有名なキャラクターというよりも、クリエイティブな面で興味をかき立てられるキャラクターなんです。
――本作は、エンタープライズの乗組員たちの闘いを軸に物語が展開していきますが、人間的な感情を抑制し、論理性を重んじるスポックが次第に変化していく姿が物語のもう一つの軸になっています。さらに、アクションシーンや、女性通信士ウフーラとのロマンスなど、スポックを巡る見せ場が多いですね。
クイントさん:これほど複雑でダイナミックな役を演じることができて、とても光栄です。前作では、地球人とバルカン人との間に生まれたスポックが、自分自身の「人間性」に葛藤したわけですが、本作ではもう一歩踏み込んで、スポックが自らの人間的な要素を受け入れ、さらに、自分の脆さを受容し、それを人前にさらけ出すという、今までの彼にはなかった一面を見せるんです。そんな今までとは違うアプローチでスポックを演じられたのが良かったです。
――最新鋭の撮影技術と3D映像で描かれていますが、出演者でありながら、完成した映像を観て驚いたりすることはなかったですか?
クイントさん:確かに僕たち俳優は、どんな映像が出来上がるのか、すべてを把握しているわけではないし、撮影中に「どんな映像になるのかな」と想像しながら演技をすることがあります。実際に完成した映像を観て、そこに自分が映っているのにもかかわらず、「どうやって撮ったんだろう」と感心させられたこともありました(笑)。例えば、カークとスポック、ウフーラが宇宙船でジョン・ハリソンを追跡していて、惑星クロノスに遭遇するシーンがあります。あのシーンは、ロサンゼルスの撮影スタジオに巨大なセットを作って撮影したので、かなりスケールの大きなシーンになるとはわかっていましたが、完成した映像では、CGを使ってさらにスケールが拡大されていたので、観ていて圧倒されました。
――最後に、日本のファンにメッセージを。
クイントさん:ぜひこの映画を観て、宇宙体験を楽しんでほしいと思います。日本はとても美しく、大好きな国なので、次の作品でまたぜひ戻ってきたいと思っています。
【プロフィル】ZACHARY QUINTO 1977年6月2日、アメリカ・ペンシルベニア州生まれ。主にテレビドラマシリーズで活躍し、『24 -TWENTY FOUR-』(2003~04年)のアダム・カウフマン役や、『HEROES』(06~10年)のサイラー役でブレイクする。映画『スター・トレック』(09年)でスポック役に起用される。