ダラス・バイヤーズ・クラブ


実話ベースということですが、内容についてはほとんど知らず、主演&助演でノミネートされているマシュー・マコノヘーとジャレッド・レトの激変した姿だけ拝んでおけばいいかな~なんて思っていったんですが、やっぱり作品賞にノミネートされてる映画は違いますね!  おもしろかったし、そして最後にはしっかり感動させられてしまいましたよ。そしてその感動は、やはりマシューの変わり果てた姿を見た時にこみあげてくるものだったのです。


マシューと言えばハンサム顔と完璧な肉体美がウリな俳優で、「サラマンダー」で髪を剃っただけでも騒がれてたぐらいなのに、今回は激痩せで容貌をすっかり変えての登場で、役柄も今までとは違って最低男なんですよ。性格だけじゃなくて生活のレベルも。それこそ「スティーラーズ」に最初出てきたバカ男達とどっこいどっこいな。性生活については……あ~、女から見れば最低のクソ野郎ですが男にとっては羨ましいという感じの? まあそんな生活してるわけなので、彼が病魔におかされてて明日をも知れぬ命だったとしても、見てる側は同情しない、当然だと思うんですよ。


この時点ですでにマシューはガリガリに痩せているんです。


さて、病名を宣告されたあとでもクソ野郎の最低ぶりは改善されず、とにかく自分に残る持ち時間を少しでものばすべくありとあらゆる手段をとるんですね。体調がよくなっても徹頭徹尾自分の利益のために行動し続けるんですが、その中で結果的に彼によって延命が可能になった人達がたくさん出てくる。その事実がちょっとずつ彼を変えていくんですよね。最初は自分の事だけが大事だった男が、いつしか他人のために我が身を投げ打つ人物になっている……肉体的な変化もさることながら、その精神的な変化を表現するマシューの演技力が素晴らしかったです。彼は「リンカーン弁護士」でもそういう役を演じてとても似合っていましたが、「ダラス・バイヤーズ・クラブ」のロン役でそれをもっと極限まで深めて見せてくれたんだと思います。


しかしマシューもジャレッドも、痩せても女装しても美貌が留まっているというのがすごいですわ。根本的というか、骨格から美しいんでしょうかね~。


ジャレッドは、見るからに危うくて、それでも常に魅力的な、儚いトランスジェンダーの役でした。彼女がロンのために一肌脱ぐ姿はだから他の人のやり方とは全然違うんですが、それがどれだけ彼女にとって辛いことかがひたひたと伝わってくるんですよ。


どれをとってもノミネートにふさわしい作品でした!