平凡な男の“冒険”を描く。 ベン・スティラーが語る最新作『LIFE!』(ぴあ映画生活) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140319-00000001-piaeiga-movi
ベン・スティラーが監督・製作・主演を務めた映画『LIFE!』が本日から公開されている。コメディだけでなく、シリアスな作品の演出にも定評があるスティラーは最新作で何を描こうとしているのだろうか? 来日した彼に話を聞いた。
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本作の主人公はスティラー演じるウォルター・ミティという冴えない中年男性。彼は、雑誌“LIFE”の写真管理部で働き、歴史に名を残す人物の写真ばかり眺めて暮しているが、本人の生活は単調で地味で平凡。おかげで現実逃避のための空想ばかりしている。しかし、彼はある日、雑誌の最終号の表紙を飾る写真がないことに気づき、カメラマンを探す旅に出る。
本作はタイトルは“LIFE”だが、描かれるのは“Adventure(冒険)”だ。ウォルターはカメラマンを探して飛行機に乗り、離陸する瞬間のヘリに飛び移り、荒れ狂う海にダイブし、噴火する火山に対面する。興味深いのは、彼はどこにいても携帯電話で会話をしていること。本作はネットが普及し、モバイル通信の網が世界中に張り巡らされた現代で“冒険”の意味を問い直す。スティラーは「確かに! 僕がアフリカの奥地にいても、ハリウッドのサンセット大通りから電話がかかってきたりするからね。どんな場所にいても、いつでも、誰とでもつながれるのは常識になってしまった」と前置きした上で、ふたつの考えを示す。ひとつは「だからこそ、携帯の電源を切ったり、ネットから離れたりして、意識的につながりを“切断”することが重要になっている」というもの。そしてもうひとつは“冒険は自分の心の中で起こる”という考えだ。「確かにインターネットの出現で世界はとても狭くなった。だからこそ、アドベンチャーはまず自分のイマジネーションから始まるものだと思うよ。と同時に、僕はまだ実際にどこかに出かけていくことは大切だと思うんだ。見たことのない風景を目にしたら、自分の考えに変化が起こるだろうし、旅行しやすくない不便な場所に行くことで初めて自分自身について考えたり、振り返ったりするからね」。
スティラーの言葉の通り、ウォルターは携帯電話こそ手放さないが、世界中を冒険する中で自身を見つめなし、本当に大切なものがどこにあるのかに気づいていく。その場所はきっとジャングルの奥地やピラミッドではないだろう。スティラーは「この映画は、世界中にたくさんいる、普通に暮して、1日まじめに働いているのに誰の目にもとまらない人たちへのオマージュであり、敬愛の情を示したものだ」とした上で、「劇中でウォルターは誰からも評価されないけど、ある人物にだけは評価されるんだ。そのことでウォルターは自身の変化や秘められていたポテンシャルに気づいていく。だからこそ僕はこの映画を作りたいと思ったんだよ」と力説する。
この映画はひとりの平凡な男の“Adventure”を描くが、その先に待っているのは彼の“LIFE(人生)”だ。観客は主人公のウォルターに共感し、波乱万丈の旅を共にすることで、自身の毎日や人生を見つめなおすことができるのではないだろうか。
『LIFE!』
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