読売テレビ 開局55年記念ドラマ「お家さん」


「お家さん」、読みは「おいえさん」。

ポスターにはちゃんとそのようにルビがふってあります♪


耳慣れない言葉ですが、それもそのはず、この名で呼ばれたのは日本で恐らくただ一人、このドラマのヒロインである鈴木よねだけなのですから。


何故そんな呼称がついたのかは5月9日放映の本作をご覧頂くまでのお楽しみとして、ここでどんなドラマかだけをちょっとだけ借り物でご紹介。


文明開化の時代を迎え、先行する欧米列強に負けない国造りを模索した明治。
始めて世界大戦があった大正。世界の列強と肩を並べ始めた昭和。

そんな時代に、国民の暮らしのために「商売」を大きくし、一軒の砂糖問屋から、
世界に股をかけた総合商社へと奇跡のような発展を遂げた商店が神戸にあった。

「鈴木商店」

砂糖や樟脳等の生活必需品から、鉄網から船舶まで幅広い商品を扱い、
取引相手は日本のみならず世界中。

日本一の年商を誇り、世界にその名を轟かせた巨大商社である。

そして、この巨大商社を作り上げたのは、一人の女主人と番頭だった。

鈴木よね---。
そして、
金子直吉---。

世界を見渡しても未だ女性の社会進出がなされていない時代にあって、
鈴木よねは世界各国にいる2万5千人もの社員のTOPに立った。
強い絆と信頼で結ばれた番頭・金子直吉と共に「鈴木商店」を日本経済史上、
稀に見るスピードで日本一の企業に成長を遂げさせたのである。

そして金子直吉は、一生を彼女に捧げ、次々と新しい会社を立ち上げ、
後に日本経済の怪物と呼ばれる事になる。

この物語は、鈴木よねと金子直吉が成し遂げた
「奇跡の航海」を描いたヒューマンドラマである


ということなんですが……ワタクシ、浅学にして知りませんでした、鈴木商店。ここに書いてある文章だけ読むと三井三菱住友に並ぶ財閥だったような印象なんですが、でも戦後GHQに解体させれられた財閥の中には「鈴木」ってなかったよね? あれ? みたいな。


でもそのような浅はかな疑問はこのドラマを見る内に全部解消されましたね! 見終わった後は今まで忘れていたその辺の日本の歴史を思い出し、さらに知られざる事実まで明らかになったような気がして、何か少し、おりこうになったような得した気分でございました♪


もちろんエンターテインメントとしてもよくできておりまして、通常のドラマの枠を破り、まるで映画を見ているような感覚でした。試写会の会場が映画館の東劇だったのですが、本当に劇場で見るのにふさわしいダイナミックなドラマでしたよ。


一面に「お家さん」ポスターの貼られた東劇のロビー。

東劇って一時期、映画「ロード・オブ・ザ・リング」ファンの聖地でして、劇場版より長尺のSEE(スペシャル・エクステンディッド・エディション)を長く上映しててくれた栄えある映画館なのですが、その「ロード」のファンがそこで見ても「お家さん」なら文句はないわと言うぐらい素晴らしいドラマだったと思います。


何がそんなに映画的かというと、やはりそのスケールですね。実話ベースの歴史物って、予算がとってもかかると思うんですが、「お家さん」は惜しみなくお金をかけて貰ったドラマなんだなと見ていてしみじみ思いました。


主な時代が明治から大正にかけてなんですが、その頃って今のケータイと同じぐらいの勢いでいろんな物が激しく変化していった時代だと思うんですよ。例えば蝋燭がランプになり、ガス灯になり、電灯になる、みたいな。鞄ぐらいあった携帯電話が掌サイズになって、カメラ機能ついて、ガラケーになって、スマホにとってかわられるぐらいの変化だと思うんですが、そういう変化が小道具にきちんと反映されているんですよね。ランプなんて特にアールヌーボーの時代と重なってますから、お金持ちの家にはさりげなく立派なガラス製のものがおいてあったりするんですよ。あれ、使われてるのはレプリカかもしれませんが、ちょっとした美術館なら収蔵品でもおかしくないものだと思います。


セットも凝っていて、明治時代のお店から大正の優美なビルディングまで、内部が緻密に作り込まれていました。大正の同時代に作られた建物の中で勉強してたことがあるんですが、うんうん、確かにそんな雰囲気だったと納得できる作りなんですよ。時代考証も相当がっちりやってますね。


しかしやはりドラマを支えるのは役者達。

「お家さん」はキャスティングがまた最高なんですね! 芸達者を揃えて適材適所。しかも演出がいい。型にはまったところがなく、自由闊達に俳優達に演技させ、それなのにきちんとまとまりがあるので、見ていてイラッとする部分がありません。


残念ながら「ヒューマンドラマ」ということなので色恋についてはさらっと流しているのですが、でも男女の心の交流はきちんと描いてあります。


ヒロインは天海祐希さんですが、メインで動くのは小栗旬君。

小栗君、最後の方は老け役に挑戦だったんですが、上手いんですよ、彼。声を出す位置を変えて、年経たことを表現している。いつの間にやら一流の演技人に成長して……と、そっと袖で涙をぬぐいたくなりました。


巨大になった鈴木商店の「番頭」として自らの裁量でガンガン采配ふるいながら、しかし常に「お家さん」をたてる節度ある男の役がよく似合ってましたね~、小栗君♪ 今まで以上に好きになっちゃいましたよ♪


その小栗君の男前ぶりと勉強熱心ぶりには天海祐希さんも感じ入ったようで、試写会後のトークショーではべた褒めでした! 共演された方それぞれについて、泉ピン子さんにはいろいろ教わったとか、生瀬さんとは何故か夫婦役が多いとか楽しいコメントをつけられていたんですが、小栗君の時だけ熱の入れ方がちょっと違ったような??? でも女傑ともいえる鈴木よねを可愛らしさといじらしさを兼ね備えた女性として表現された天海さんの演技力も相当なものなんですけどね!



今回、時代や身分の関係で衣装はさほど華美なものはないんですが、それでも相武さんが少女時代に身につけているものとと成長してから着こなしているものとでは全然違います。彼女の境遇がそこに反映されているんですね。私は和服についてまるで知識がないので、恐らく天海さんお召しの着物も段々高価なものになていったのだとは思うのですが、何も言えないのです。


衣装よりも目立って美しかったのは女性の髪型。髷のよく似合う女性ばかりをよくぞキャスティングしたものだと、ただただうっとり。天海さんのはかつらだったそうなんですが、トークショーでそうきくまで地毛を結ったもんだとばかり思い込んでましたわ、私。これもいろんなスタイルがあって、後半になると「洋髪」といわれたものも混じってくると思うんですが、しかし「日本髪」というものは着物を着た日本女性を最高に美しく見せるためのものだったのねと改めて納得いたしました。江戸川乱歩とか横溝正史の初期の探偵小説に出てくる美女って、こういう風だったのか、なんて今更思ったりして。


その、ドラマでは丸髷の似合う貞淑な人妻だった天海さんが、トークショーに現れた時はパンツスーツでバリバリのハンサムウーマンだったんですから、女優さんってすごいものです。テレビやスクリーンで見ても細い彼女、現実に目の前で見ると、さらに一段と細かったです。


トークショーの最後に写真撮影があって、かなり近くでお姿を拝見したんですけどね(主に後ろ姿ばっかり)、スーツの長袖部分がシースルーになっていて腕が透けて見えたんですけど、私の半分しかないんじゃないかってぐらい細かったですよ。それなのに胸とヒップはばん! とあるんですから羨ましいったら!


写真のために口では「チーズ」といいながら、私の目には嫉妬の炎が宿っていたかも??


そんな嫉妬の炎などものともしない天海さんのインタビューはこちら。

http://www.ytv.co.jp/oiesan/interview/amami.html


何はさておき、とってもおもしろくて見所満載の「お家さん」

放映はGWあけの5月9日ですので、お見逃しなく!





レビューブログのモニターで特別試写会に参加しました。

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