漫画家・高橋陽一さん、W杯に魅了され36年「ブラジルは特別な存在」(産経新聞) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140611-00000550-san-socc
【話の肖像画】漫画家・高橋陽一さん(53)
〈代表作「キャプテン翼」の主人公、翼とブラジルは切っても切れない関係にある。師匠は日系ブラジル人のロベルト本郷で、翼は中学卒業後にブラジルでのサッカー修業に旅立つ〉
私にとってもブラジルは特別な存在でした。サッカーに初めて興味を持った78年のワールドカップ(W杯)アルゼンチン大会は、現在とは違い2次リーグを戦って決勝進出チームを決めていました。優勝したアルゼンチンは1次リーグで1度負けたのですが、ブラジルは一度も負けないまま総得点数で劣ったため2次リーグで涙をのんだ。負けないまま散ったブラジルは私の中で神格化された部分がありましたね。
〈ロベルトが翼にサッカーを教えたように、多くのブラジル人が日本にサッカーの奥深さを教えてくれた。高橋さんには先見の明があった〉
日本はブラジルを手本にした方がいいという思いはありました。ブラジル人は欧州の人のように体格がいいわけではないが、サッカーは強い。バスケットボールや陸上の100メートルでは体格のいい人にかなわないかもしれないけど、サッカーであれば日本人でも対抗できるとブラジルが思わせてくれたのです。個人でもテクニックを磨けば世界で戦える。そういう意味で日本を引っ張ったのが翼で、1人で何人もドリブルで抜いていってしまう選手にしたかったんです。国民性なんかも日本とブラジルでは大きく違うのでしょうが、サッカー文化という意味でも日本はブラジルをお手本にしてほしいと思っていました。
〈連載開始前にブラジルへ行ったことはなかったが、実際に行ってみると、ブラジルはあこがれた通りのサッカー王国だった〉
行ってみないと体験できないこともありましたが、ブラジルはいい意味で想像通りの国でしたね。当然のごとく、サッカーばっかり。スタジアムには、ずっとサンバのリズムが鳴り響いていました。マラカナン(W杯の決勝会場)にも取材へ行ったのですが、だだっ広くて草原でサッカーをやっているみたいでしたね。スタンドも大きくて「ここが観客で埋まるのか」って驚かされましたよ。暴れたサポーターを収容しておく牢屋(ろうや)みたいなのもあって、日本とは違うって思わされました。
〈初めてW杯に魅了されてから36年たつ今年、W杯が南米に帰ってくる。しかもブラジルに。南米、ブラジルサッカーへの思い入れは人一倍で感慨もひとしおだ〉
すごく盛り上がるでしょうね。W杯は欧州、日本、米国でもやって、それぞれ雰囲気は違っていました。でも一番熱狂するのは南米だと思うんです。決勝だけは現地で観戦できる予定で、試合自体も楽しみなのですが、会場周辺やブラジル全体の雰囲気がどんな感じになるのかが楽しみです。