なぜ“悪役”が主人公に? 製作者が語る『マレフィセント』(ぴあ映画生活) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140626-00000001-piaeiga-movi
アンジェリーナ・ジョリー主演作『マレフィセント』が来月から日本で公開される。本作は1959年製作のディズニー・アニメーション『眠れる森の美女』に登場する邪悪な妖精を主人公にした作品だが、プロデューサーのドン・ハーンは本作を描く上で「“現代性”と“ディズニーの伝統”のバランスをとることに注力した」と語る。
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これまでに『美女と野獣』や『ライオン・キング』など数々の名作をプロデュースしてきたハーンは「マレフィセントはディズニー作品に登場する悪役の中で最も高い人気を誇っている」という。「それなのに、彼女のバック・ストーリーを誰も知らないのです。だからなぜ『眠れる森の美女』に出てくるマレフィセントがパーティに招かれなかっただけであんなにも怒って、オーロラ姫に“永遠の眠り”の呪いをかけたのか誰もわからない。でも何も描かれていない分、自由な解釈で物語を作り出すことができました。それにアンジェリーナ・ジョリーがマレフィセントを演じたことが大きいと思います。アンジェリーナは美しくてエレガントだけど、どこか謎めいていて、多くの人が彼女のことを知れば知るほど『もっと知りたい!』と思ってしまう。彼女と同じことがマレフィセントにも起こると思います」。
現在公開中の『アナと雪の女王』同様、本作も新たな技術や語り口を追求しながら、ディズニーの伝統が作品に息づいている。「私たちはつねにディズニーの手描きアニメーションの伝統を引き継いでいきたいと考えています。本作ではまず美術チーム全員が『眠れる森の美女』のアーカイヴ倉庫に行って、当時の設定画やセル画、背景画を徹底的に研究しました。それからウォルト・ディズニーは『眠れる…』の製作時に『動くタペストリーのような映画にしたい』と言っていましたから、それを意識して映像はもちろん、衣裳、セット、小道具のひとつにいたるまで裏方の職人の努力や“手作業の美しさ”を感じられる映画になっています」。
しかし、なぜ製作陣は新たに物語を語りなおす際にオーロラ姫ではなく、悪役だったマレフィセントを主人公に据えたのだろうか? ハーンは「この映画のテーマが“贖罪”だからです」と説明する。「映画を作るにあたって、単に悪役を主人公にするようなことはしたくありませんでした。私たちはキャラクターのもっと深い部分まで描こうとした結果、すべての人間には善なる部分と悪なる部分があり、心の中でそれらはせめぎあっていて、どちらにも転ぶ可能性がある、という物語を描くことになりました。そして、結果的に悪い方に転んでしまっても、罪をつぐなって再生できる可能性があることを、マレフィセントの美しさや恐ろしさを交えて描きたかったのです」。
ここまで読むと『マレフィセント』は複雑な映画かと思ってしまうかもしれないが、ハーンは「安心してください!」と笑い声をあげる。「この映画はディズニー映画ですから、家族そろって楽しめる映画になっていますよ! 小さい子は少しだけ怖い場面があるかもしれませんが、『白雪姫』だって『アナと雪の女王』だってほんの少しだけ怖い場面があったでしょう? 最後まで観てもらえたら小さな子も明るい気持ちなって、勇気づけられると私が保証します!」
『マレフィセント』
7月5日(土) 2D/3Dロードショー