ブログネタ:夏休み何する?
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今年の夏は何故か日本に印象派の名画が終結しているのでございます。うん、日本人って印象派好きだから。
ご多分に漏れずワタクシも印象派は好きでして、日本で見られるもんなら何でも見ちゃえ! とばかり、許す限り美術展に足を運ぶ方なのですよね。外で並んでチケット買わなくていいならば!(この暑さ、美術館の外で長蛇の列に並んでチケット買うの待ってたら、死ぬわ!)
幸い、先日行った世田谷美術館は全然混んでなくてチケット購入に待つ必要もなく、といって閑散としてるでもなく、丁度いい塩梅だったので楽しく美術鑑賞ができたのでございます。
目下世田谷で行われているのは「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」というのが正式名称。
モネの大作、「ラ・ジャポネーズ」。
ふりむいて、モネのためにニッコリ笑っているのは妻のカミーユ。
シャーリーズ・セロンの如き美女だったと思われます。
夫のためにモデルをつとめ続けたカミーユは、この数年後に32歳の若さでこの世を去ってしまうのです。以前ドラマで見た時は、「ラ・ジャポネーズ」は病床にありながら無理をしてモネのためにポーズをとったと描かれていたような。
そう思うと満面の笑顔がひきつった笑いに見えてくるのが不思議ですな。
しかしここは、カミーユは愛する夫のために喜んでポーズをとったのだと思っておきましょう。そしてモネは失われゆく最愛の妻の命と美貌を、おのれの絵筆をもってキャンバスに留め置いたのだと。
おかげで美しいカミーユの姿は死んで100年以上たってもなお、こうして人々の注目をひきつけてやまないのですから。
この絵はモネにしては珍しいのです。顔がこんなにはっきり分かるなんてね。どうしてもカミーユの顔を、自分の手で描いて残しておきたかったんでしょうね。
この絵、「ラ・ジャポネーズ」、上の画像で御紹介したようにチラシやポスターでいくらでも印刷されたものを見ることはできるわけですが、そうやって平板になったものと筆で描かれた絵画を見るのとでは、全然印象が違います。
何が違うって、実物の絵で真っ先に人目をとらえるのはカミーユじゃなくてもう一つの顔、彼女の着ている打ち掛けに施された武者絵の顔なんです。そう、げじげじ眉毛でどんぐり眼の、お世辞にも美しいとはいえない顔。これが強烈で、顔だけじゃなく、隆々とした腕や今にもぬかれんとする刀までが浮き上がって見えます。今で言うなら3D。これ、実際に絵の具も盛られてますから。非常に現代的というか。19世紀の絵なのに20世紀とびこえて21世紀レベルというか。今にもキャンバスの中から浮き上がってこの武者こっちに飛び出してくるんじゃないかという、そういう世界。
で、そういう一種の緊張感を強いられた後に上を見ると、カミーユがにっこりと、神々しいまでに美しく微笑んでいるのですよ。この対比はスゴイ。
そう思って見ると、武者の顔と腕と、カミーユのそれとが見事に対になっていることがわかります。そのために不自然なポーズをとらされたわけですね、カミーユは。絵のためとはいえ、ご苦労なことです。
ちなみにこの絵にはもう一つ目立つ顔があります。
そう、赤い団扇に描かれた浮世絵の美人図。
この顔をどこに置くかでモネがさんざん悩んだらしい……というのが美術館に行くと分かる仕組みになっております。
完成された絵を見ると、ここにしかこの顔(の団扇)はないだろう! ぐらいにピッタリな位置に描かれていて「さすがモネ!」なんて思うものですが、実は巨匠にも迷いはあったと分かるのが人間臭くておもしろかったりするのですね♪
また、このキャンバスは下の方をあとでつけたしたものなのだとか。
最初は打ち掛けの裾ギリギリぐらいだったみたいです。
丁度この「切手はココ」の下の線ぐらいかな?
なんで付け足したかって、その理由はモネ本人に聞かなきゃ分からないでしょうが、どうやら同じくカミーユを描いた作品である「緑衣の女性」と対にしたかった、というのがそれらしいです。確かに裾のラインから付け足した部分があれば、「緑衣の女性」と「対」っぽく見えます。サイズも同じになるらしい。でも実際は、ただ単に付け足した方が絵が良くなるからだったのではないかと……。団扇の位置同様、できる修正は惜しまなかったのがモネなんだな、などと思ってしまいました。
映画「モネ・ゲーム」を見て以来、「積みわら」の絵はがきを見つけるとぷふっと吹き出しながら買ってしまうワタシ……。
モネはこの他に「睡蓮」もありました。ルノアールもありましたが、思いがけなくビアズリーも一枚だけあって、ちょっと感動。
全体として、コンパクトではありますがテーマに沿って的確な展示がなされていて、印象派好きにとっては足を運ぶ価値の充分ある美術展でした。会期は8月15日までなので、夏休み中の平日に行くといいかも。
さて、次は新国立美術館で開催されている「オルセー美術館展 印象派の誕生 ――描くことの自由――」に行かなければ。
それにしてももう少し涼しくならないかなあ……。
素敵な特典がいっぱい!Ameba Meister(PC・スマホ)