美術監督・種田陽平が語る“監督”キアヌ・リーブスのセンス(ぴあ映画生活) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140806-00000005-piaeiga-movi


『キル・ビル Vol.1』などハリウッド大作、数々の邦画話題作、公開最新作であるスタジオジブリの『思い出のマーニー』など幅広い作品で美術監督として活躍する種田陽平。まもなくブルーレイ&DVDが発売となるキアヌ・リーブスの初監督作品『キアヌ・リーブス ファイティング・タイガー』でも美術監督を務めた。いかにキアヌのイメージを具現化したのか? 話を聞いた。

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本作は、『マトリックス』で激しいカンフーアクションに挑んだキアヌが初監督作として選んだ格闘アクション。北京を舞台に太極拳を学ぶ主人公が、師匠の寺院を存続するため、謎の男の誘いを受けて闇の武術大会に挑む。

“美術監督”に関し、映画の中の建物や部屋のデザインを提案するスタッフというぼんやりとしたイメージはあるが、どの段階でどのように作品に携わっているのか? 種田によると「監督、プロデューサー次第」とのことで、ギリギリの段階で既にある程度、決まっている美術の製作を依頼されることもあれば、脚本執筆の段階でプロデューサーと種田でロケハンを行ない、ロケ撮影とセット撮影のシーン毎の振り分けという判断も含め、物語上の舞台設定の提案をすることもあるという。

本作に関しては主人公が修行する古い寺院が重要な舞台のひとつとなるが、種田は撮影の行なわれる北京を中心に周辺の寺院を徹底的に見て回った。「車で2時間くらいのところはひと通り回ったけど、キアヌが求める素朴なお寺というのは残っていなかった。ないものはしょうがない、作るしかないということで、撮影所の敷地に四川省に実在するお寺などを参考に寺院をまるごと建ててしまいました」。

一方、格闘の場やキアヌ演じる謎の男・ドナカの拠点などに関しては、モダンでアーティスティックな作りとなっているが、細部に種田の意匠が光る。「キアヌの中にあるイメージを引き出すということが大事でした。彼は自分のルーツでもある“アジア”を非常に大事にしている。ドナカには日本の血が入っているという設定だったので、彼の居住空間には格天井を取り入れたり、回転ドアを京都風の縦格子にしたり、フロアの板のサイズや張り方を畳のようにするなどの提案をしました」。

キアヌにとっては“監督”としての初めての現場。「美術に関する打ち合わせでも話し合ってすり合わせていくことに巧みだった。彼の美術に関する造詣は深く、インテリアのデザインから、主人公に届く小包のパッケージや名刺のデザインに至るまで具体的にリクエストを出してくる。けれど、こちらの提案にも耳をよく傾けてくれた。古いフランス映画やキューブリックの初期作品のシーンをよく引用していました。つまり、映画史の流れの中に身を置いているんですね。フィルムとデジタルの撮影をめぐるドキュメンタリーを作ったりしているし、いわゆる“ハリウッド”スターとは違うセンスの持ち主。そんなキアヌ・リーブス監督との仕事はとても楽しいものでした」。

『キアヌ・リーブス ファイティング・タイガー』

8月6日(水)リリース
ブルーレイ:3800円(税別)
DVD:3200円(税別)
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

『ファイティング・タイガー』作品情報


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