英国ナショナル・ギャラリーを昼夜問わず170時間撮影!ドキュメンタリーの巨匠が明かす舞台裏(シネマトゥデイ) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141114-00000001-flix-movi
映画『パリ・オペラ座のすべて』などを手掛けたドキュメンタリー界の巨匠フレデリック・ワイズマンが、新作『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』について語った。
【写真】『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』
本作は、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、レンブラントなどの作品を展示する世界最高峰の英国の美術館ナショナル・ギャラリーを舞台に、名画の修復作業や普段明かされることのない美術館の運営などの舞台裏にも迫った作品。カンヌ国際映画祭監督週間に出品している。
製作経緯は「長年、美術館を描いた映画を製作したかった。30年前にメトロポリタン美術館にアプローチしたが、彼らは製作するならば、交渉金が必要と要求してきた。僕自身は自分のドキュメンタリーで製作費を捻出したことがないため断念した。ところが、2010年にリゾート地でスキーをしていた際に、ナショナル・ギャラリーで働く女性に会った。彼女に美術館を題材にした映画に興味があるかと聞かれ、常に描きたかったことを伝えると、彼女がナショナル・ギャラリーの館長ニコラス・ペニーを紹介してくれたことが製作へのきっかけになった」と明かした。
撮影前にニコラス・ペニー館長やスタッフに、何に焦点を絞って撮影するのかを伝えたのだろうか?「彼らには、撮影は大体6~12週間くらいで、僕はリサーチをせずに撮影を行うことを事前に伝えた。僕にとって撮影中がある意味リサーチで、実際には170時間も撮った映像を集めてリサーチを行った。さらに彼らには、事前に撮影してほしくない場所も聞いた。唯一、僕が入ることができなかったのは、美術館のエグゼクティブたちが個人的な問題に関して会合をもうけているときだけだった。そして撮影中は僕に美術館スタッフが付いてくることはなく、僕は美術館のパス(入場許可)を持って昼夜を問わずに動いていた」と語る通り、彼はほとんど休まずに撮影していたそうだ。
映画内では絵画を説明してくれる女性が居るが、彼女の名前や経歴に関しては何も触れていない。「確かに彼女の名前、どのような訓練を経たのか、彼女が博士号を取得しているのか、結婚して子供が居るのかもわからない。でも彼女の絵画の説明を10秒聞いただけで、絵画の知識が豊富で、彼女自身の探究心から絵画への明瞭な捉え方をしていることが理解できる」と評価した。
美術館のさまざまな分野に携わる人を通して、芸術作品に対する愛情が伝わってくる秀作に仕上がっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)
映画『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』は2015年1月よりBunkamura ル・シネマほか全国順次公開