【NZホビット・ツアー】“リアルとファンタジー”の融合…WETAデジタルに潜入(cinemacafe.net) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141129-00000001-cine-movi
アカデミー賞11部門の史上最多受賞に輝くピーター・ジャクソン監督が贈る、アクション・アドベンチャー超大作『ホビット』シリーズ。『ロード・オブ・ザ・リング』から続く13年間に及ぶサーガの完結編となる『ホビット 決戦のゆくえ』が12月13日(土)より公開となる。
【写真】キャストに指示するピーター・ジャクソン監督
シネマカフェでは、本作を手がけてきたピーター・ジャクソン監督が描くファンタジーの世界に潜入すべく、ニュージーランドのロケ地巡りを敢行! 今回は、ゴラムで一躍有名となったモーションキャプチャやキーフレームアニメーションに最先端のCGなど、ジャクソン監督のファンタジー世界を作り上げるのに“必要不可欠”な、世界最高峰の技術が集結するWETAスタジオに潜入した。
WETAデジタルは、ニュージーランドの首都・ウェリントンに所在するVFXポストプロダクション会社。ジャクソン監督自身が代表を務めており、本シリーズは全てこのWETAで製作されている。『ロード・オブ・ザ・リング』三部作では、アカデミー賞「視覚効果賞」を受賞という快挙を成し遂げ、一気に注目を集めた。
ここでは、おそらく日本メディアの中で初めて入ることが許可されたという、ジャクソン監督が所有する特別な試写室で、VFXスーパーバイザーを務めるマット・エイトキン氏に『ロード・オブ・ザ・リング』と『ホビット』の技術の違いについて映像を使いながら解説してくれた。
「『ロード・オブ・ザ・リング』では、ミニチュアを多く使用してCGとスタジオ撮影を合わせて作品を作っていったんだ。一方、『ホビット』ではミニチュアを一切使用せず、全てコンピューターで仕上げた。なぜミニチュアを使用しなくなったかというと、ピーターが自由に作品を編集できるようにするためだ。水の流れもCG、木の葉の動きもCG、昼夜もすぐ変えられるようにね。だから俳優陣はグリーン・バックで演技をしていたんだ」と語るエイトキン氏。
『ロード・オブ・ザ・リング』では出来なかったことを、『ホビット』で出来るようになったのは、技術の進化が大きな要因だそう。その変化を著しく感じることができるのが、いまでは当たり前となったモーションキャプチャを使用するゴラムの登場シーンだ。
「『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラムのシーンでは、モーションキャプチャ専用のスタジオでやっていたんだ。そのときはまだ顔はキャプチャが出来ない状態だった。そのためゴラムの表情はデジタルのアーティストが作っていた。しかし『ホビット』のときは顔もキャプチャができるようになり、主人公のマーティン・フリーマンと一緒に演技ができた。前作よりリアルにアンディ・サーキスの演技が感じられるようになったのが特徴だよ」。
また、迫力のある戦闘シーンを描くためにWETAが開発したソフト「マッシブ(Massive)」を使用し、エキストラの数をコンピューターで増やしたり、減らしたりすることができるようにもなったという。
「大勢の戦いを見せるために開発したマッシブは、『ロード・オブ・ザ・リング』のときに作ったんだ。ミニチュアと共に背景は写真や現地で撮ったものを使った。『ホビット』では環境もCGにできるようになったんだ。例えば、レゴラスが登場するスピード感あふれる川の戦い。ホビットとドワーフたちが樽に乗っているのが印象的だよね。あの川は実際に撮影したけれども、レゴラスの腰から下はCGで作っているんだよ。ドワーフの頭に乗ったりしながらオークを弓で倒すというのはとても危険だからね。あのロケーションはピーターが8歳のときにあの川に行って撮影したいと思ったそうだ。そういった彼の思い出とあらゆるロケーションを使うためにデジタルは必要不可欠なんだ。ピーターの想像した通りの世界にするためにね」。
実際に撮ったもの+CG+写真で観客が見て分からないよう“リアルとファンタジーの世界”をどれだけ融合させるかが肝だというエイトキン氏。
最後に、『ホビット 決戦のゆくえ』について聞いてみると「まだ編集の段階だから何も話せないけど…今回はディテールが複雑になっている分、リアル感は前作より増しているはず。火と戦いのシーンには注目して観るといいかもね」とこっそり教えてくれた。