英国で犯罪者にみなされた「英雄」歴史の裏側〈AERA〉(dot.) - Yahoo!ニュース http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150321-00000005-sasahi-movi
日本にもファンが多いベネディクト・カンバーバッチ。その名をとどろかせたシャーロック役同様、今回も頭脳明晰な男を演じる。数奇な数学者の背景に隠されたものとは。
ツイードのオーバーにパイプをふかす架空の名探偵シャーロック・ホームズのかび臭いイメージを21世紀風に刷新し、世界中を魅了したベネディクト・カンバーバッチ。今や英国を代表する名俳優として君臨する彼の新作映画が、「イミテーション・ゲーム」だ。ナチス・ドイツの暗号を解明し、チャーチルの率いる英国軍を勝利に導いた第2次大戦の陰の英雄、数学者のアラン・チューリングを演じる。
「大戦当時彼の果たした業績は重要だが、それにもましてコンピューターが支配する21世紀の現代における彼の影響は非常に大きいと思う。にもかかわらず、彼の存在と歴史上の重要性が見落とされているということに怒りを感じるよ」と熱く語る。
指摘のとおり、チューリングの存在は英国でもあまり知られていない。それは彼が同性愛者で、当時の英国社会では犯罪者とみなされたからだ。英国政府が公に彼の家族に過去の過ちを謝罪したのは、ごく最近のことだ。映画は英国の第2次大戦勝利の背後に隠された一人の数学者の悲劇的な人生を追う。
「どうして政府の謝罪にこんなに時間がかかったのかわからない。僕は女王陛下でも首相でもないから、背景に何があったのかわからない。演じてみていかに彼が不当にひどい扱いを受けたか、偉大な業績を葬られたか痛感した」
そんな状況だったから、チューリングに関する情報はあまりなかった。役づくりはいかに?
「彼の声や写真など、情報はほとんど残っていなくて、役づくりは白いキャンバスに絵を描くようなものだった。逆に自由な演技ができたとも言えるね。容姿を近づけるという点には限界があったし、限界の中でアランになるしかなかった」
※AERA 2015年3月16日号より抜粋