犯罪心理学のスペシャリストがリーアム・ニーソン主演作『誘拐の掟』を称賛(ぴあ映画生活) - Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150421-00000010-piaeiga-movi  


リーアム・ニーソン主演で連続誘拐殺人事件の解決に向けた誘拐交渉をサスペンスフルに描いた『誘拐の掟』の特別試写会が4月21日に開催。上映後に犯罪心理学を専門とする法政大学の越智啓太教授が本作を犯罪心理学の面から分析・解説する特別講義が行われた。

特別講義を行う越智教授/その他の写真

警察に通報できない、麻薬取引の関係者の身内ばかりを狙った猟奇的な連続誘拐殺人事件が発生! 心に傷を抱えた元刑事で、無免許の探偵で生計を立てるスカダーは、断酒会仲間の麻薬中毒者の頼みを聞き入れ、事件の解決のために犯人との交渉に臨むが…。

越智教授は、犯罪心理学の中でも特に犯人を捕まえるまでの捜査を専門としており、犯罪を扱ったドラマや映画に携わるほか、実際に警察の捜査に協力することもあるスペシャリスト。そんな越智教授によると「この作品は本物っぽい犯人や、動機が描かれている」とのこと。

越智教授はまず、犯人像をプロファイリング。本作の犯人は2人組だが「実は2人組の犯人はケンカしてしまったり、(金などの)取り合いになってしまうので難しいんですが、このふたりは“趣味”が違うので上手くいっている」と納得の表情。「ひとりは相手をいたぶったり、恐怖に陥れるのを楽しんでいて、もうひとりは死体をバラバラにするのが好き。役割分担ができている異常者なんです」と解説する。

美女ばかり狙う点も「身代金目的なら金があれば誰でもいいけど、彼らの動機は違う。この手の犯人はだいたい自分の好みのタイプ、性的対象を殺していく」と語り、彼らが犯行を録画している点にも着目し「このタイプにありがちです。何度も後から見て楽しむため」と分析する。

一方、捜査側の交渉術に関しても「まず原則として人質が生きているか死んでいるかを確認することが最優先」と語り、スカダーの交渉については「結構、強気。彼は、おそらく身代金目的ではないと見破ってて『人質はどうせ死んでる』というスタンスでいる節がある」と犯人のみならず、スカダーの心理にまで推理を展開! その後、人質が生きていることが判明するが「そこで少し、(態度を)弱めるけど、交渉で大事なのは、相手と同じスタンスで対等の立場でいること。この犯人は強気なので、付け込まれないようにかなり強気に出ている」とその交渉姿勢を評価する。

犯罪者側、捜査側の両面で、本作は現実に沿って制作されているよう。越智教授曰く「日本の作品は結構、適当なのも多いけど(笑)、アメリカのドラマ、特に原作のあるこういう作品はリサーチがされている」とのことで、プロの視点で見ても見応えのある作品として称賛を送っていた。

『誘拐の掟』
5月30日(土)全国公開