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泣ける映画といえばドラゴン・ブレイド」。



昨日公開されたばかりジャッキー・チェンの新作、バリバリの一大スペクタクルアクション映画です。


え? ジャッキー、確か前、アクション映画から引退するって言ってなかったけ?


はい、言ってました。これが最後というんでジャッキーの映画見に何度も(そのたび違う作品)劇場に足運んだもんですよ、私も。


だからこそ泣けるんじゃあないですか、引退すると言い続けながら、それでもまだ体張ってアクションで主演を続けるジャッキーの勇姿に! 生涯アクションスターで居続けるなんて大変なことですよ。あのシルベスター・スタローンでさえ「クリード」ではもう戦いからは身を引いたロッキーを演じてたんですからね(そのおかげでオスカーにノミネートされてるんだけど)。


でも「ドラゴン・ブレイド」でのジャッキーは全編通してみっちりアクションシーンやってましたからね~。ほんとすごいわ。確かにね、若い頃のちょこまかした動きで周囲の小道具使って笑わせるようなタイプのアクションはもうやってないんですよ。代わりに今回のアクションは重厚で見応えのある、剣を使った一騎打ちだったりするんですよね。なにしろ昔の剣ですから、重くて幅広、棍棒に近いような代物です。振り回すだけで一苦労、いや、大迫力なのです。


お話はというと、今から2000年ほど前のこと。シルクロードの時代になんでかローマ帝国と中国(時代は前漢)が戦ったという史実があるそうで、それを元に作られたストーリーなんですが、これがよくできているんですよ! 前漢側の中心人物を演じているのがジャッキーなので、戦うだけじゃなくてローマの将軍と友情も結んじゃう、世界平和(当時の)も願っちゃうという、壮大にして雄大な物語。


この、ジャッキーと熱い男同士の友情を結ぶローマの将軍がジョン・キューザック。


ジョン・キューザック、名優ですけど、今までこういった類の自分で剣を振り回すようなキャラクターを演じるとは思っていなかったんで、私最初ハラハラしながら見守ってたんですよ。だって「ローマ」で「剣」ふりまわすっていったら思い出す映画は「グラディエーター」。ラッセル・クロウじゃないですか。あのコワモテのマッチョのムキムキの。ジョン・キューザックって、全然そんな感じじゃないんですよ。どちらかというと、仕事でカラダ使わない系。職業が殺し屋の役だとしても、得物は銃。アタマは使うけど無駄に筋肉使いません、って感じ。


それがあなた、さすが名優ですね、ジョン・キューザック。映画に登場した時はしっかりカラダ鍛えて重い(はずの)鎧甲つけて、手甲も脛当てもつけて、楯も持った上で剣をふるい、その装具の重さに振り回される様子など微塵も見せてませんでしたわ。あら、今調べたらジョン・キューザック、身長189センチもあった! それなら筋肉つければ立派なグラディエイターに見えるわよね。納得。何故か彼ってそんなに大きくない印象があるんだけど、それってあれか、顔か。顔が可愛いからか、それとも顔が大きいのか。まあ、どっちでもいいんだけど。


顔でいうなら、ジョンは口がちょっと小さめでおちょぼ口っぽく見えるんですよね。それって、アメリカンヒーローのステレオタイプとはちょっと違う訳です。アメリカで戦うヒーローといえば、顎ががっしりしていなくてはいけませんから(ジェイミー・コスター・ワルドゥーみたいな感じね)。簡単に言うなら、ジョン・キューザックの顔だとスーパーマン的なキャラクターにはキャスティングされないわけです、ハリウッドではね。


しか~し! 

「ドラゴン・ブレイド」はハリウッド映画ではないのです。


だからこそ、ジョン・キューザックのローマ将軍という世にも珍しいキャスティングが実現したのだと、私は思いましたね!


泣けるじゃないですか~!


さらに輪をかけてハリウッドではあり得ないキャスティングがエイドリアン・ブロディのローマ帝国の執政官の息子役!!!


エイドリアン・ブロディ、言わずと知れたオスカー俳優です。「戦場のピアニスト」では激痩せして主演男優賞に輝いてます。劇中でなんで彼が痩せたかというと、ナチスのユダヤ人狩りから逃れるため食料もほとんど手に入らない状況で隠れ住んでいたからです。


つまり、エイドリアンって、すっごく分かりやすいユダヤ系の外観を持っているんですよ。具体的には鼻が長いんですけど。


だから、ハリウッドだったらまずローマ人の役なんて回ってくるはずないんです。だってローマ人はラテン系なので、ユダヤ系とは民族が違うんですから。


それがもう、「ドラゴン・ブレイド」ではエイドリアン、上から下までローマの装いですからね。しかもこれが武将としても最強という……これは彼、「プレデターズ」で筋肉美を披露して他ので納得なんですけど……非常に美味しい役でした。複雑な感情を余すところなく表現する見せ場も与えられていて、彼、役者冥利に尽きたんじゃないでしょうか。


泣けますよ、ホント。


ジョン・キューザックもエイドリアン・ブロディも、ハリウッドでは望んでも演じられないであろう役柄に全力でぶつかっていましたから。どちらもジャッキーとのからみもあって、共に泣けるシーンです。


むろん、泣くだけでなく笑えるシーンもたくさんあるし、楽しい場面もあっと驚く仕掛けもいっぱいなんです。


私ちょうど「ウルトラ重機」というテレビ番組を見てクレーンの歴史を調べたばかりだったんですが、これが役に立ちましたね~。


クレーンが登場するのは、紀元前 450年頃のギリシア であると言われ、当然ながら人力である。古代ギリシア の石造建築は、この人力クレーンによって造られた。シチリア アルキメデス は(当時としては)巨大なクレーンを製作して、ローマ 軍の軍船を吊り上げ、転覆させたと言われている



なんでクレーン? というのは、映画を見てからのお楽しみということで……。

なにしろジャッキーがらみ以外での一番の見せ場はローマの大軍に建築資材で立ち向かうところですから、「ドラゴン・ブレイド」、乞うご期待! 


あ、私が見たのは吹き替え版だったのですが、ジャッキーのお声は当然ながら石丸博也さんでした♪ その他にも家中宏さん、宮本充さん、浪川大輔さん、森川智之さん、立木文彦さん、井上喜久子さん、水木奈々さん、小林由美子さん、櫻井智さんと実力重視の声優陣なので、何の苦労もなくすんなり「ドラゴン・ブレイド」の映画の世界に入っていけました。この吹き替え版はおすすめ!



ちなみにスカパー! 「映画・チャンネルNECO」ではジャッキーの主演作を石丸さん吹き替えで、2月より7ヶ月連続で計22作品も放送してくれちゃうそうなので、こちらも期待大ですね♪



さて、私がこの作品見たのは実は一週間前。

スカパー!映画部の企画で招待して頂き、日活の試写室で鑑賞するという僥倖に恵まれたのです。


これが日活の試写室(普段は会議室)。

ここに一般人が入っての試写会ってこれが初めてだったそうで、ほんと、光栄に思います。


「ドラゴン・ブレイド」のあとにはトークショーがあって、映画ファンにはたまらないお話をい~っぱいきかせて頂きました。


今回のキャスティングについては、ジョン・キューザックは「上海」という映画ですでに中国系に映画には出演しているから馴染みがあったからではないかということですが、エイドリアン・ブロディは御本人が子どもの頃から「燃えよドラゴン」に代表されるカンフー映画好きなので自分からジャッキーに出たいと言ったんじゃないかというお話で、エイドリアンの知られざる一面を知ったような気がしました。


でもこうやってハリウッドの俳優が中国の映画に出るようになってきたのは、映画界における中国の比重がとても大きくなってきたからなんだそうです。中国資本のハリウッド映画への出資額も年々増しているそうで、確かに「アイアンマン3」にも「トランスフォーマー」4にも中国の俳優さんが出演していたもんな~と思いましたわ。お金を出せば、当然映画に口を出す権利も得られますもんね。


その中国では、私たちが見たインターナショナル版とは違う、中国版の「ドラゴンブレイド」が上映されて大ヒットしたそうです。どこがどう違うのか、ちょっと興味ありますね♪


とりあえず日本ではインターナショナル版が字幕&吹き替えで絶賛公開中!

ジャッキーとジョン・キューザックの熱い男同士の友情に涙して下さい!!