洋服というものの概念を芸術作品にまで高めた男、マックイーン。

 

私はデザイナーであるアレキサンダー・マックイーンの名前ぐらいしか知らなかったんですが、「メットガラ ドレスをまとった美術館」というドキュメンタリー映画の中で彼の作品がメトロポリタン美術館で展示されているの見て、そのスタイルの異様な美しさに興味を覚えたんですね。

 

それで今回彼のドキュメンタリー映画だというので見に行ったのですが……、凄かったです。

 

私は「プロジェクト・ランウェイ」が好きでよく見ているのですが、そこで大物デザイナーがつけるワケわかんない注文って、突き詰めれば「第二のアレクサンダー・マックイーンになってみろ」ってなことなんだなと、しみじみ思ったというか。

 

彼のショーの服って、普通の人が着られるようなものではなかったりするんですが、そのエッセンスというのか彼の作り出した新しい表現が、実は今のモードの主流になってるんじゃないか、みたいな。

 

洋服からその「機能」を切り離し、自分自身を表現する手段にもっていくって、凄いことです。彫刻でも彫塑でもなく、布と糸と人体を使った立体表現。動きも音楽もあるが、一瞬のもの。ランウェイというリングで見えないプレッシャーと戦って、最後は燃え尽き人生を絶った男、それがアレキサンダー・マックイーンでした。まるでデザイナー界の「あしたのジョー」。

 

彼の服をこの目で見てみたいと強く思いました。