証言拒否 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)の感想
リンカーン弁護士がサブプライムローンの破綻のせいで家を差し押さえられそうになってる人達からの仕事を請け負っている。このシリーズは世相を映すのが抜群に上手なのだと思う。 さて、本書には「召喚状の送達」の独創的な手段が書かれていて、ここだけミッションインポッシブルのようで笑ってしまった。この「召喚状」というのは送達人が直接手渡ししなくてはならないため、相手に逃げられないようにと映画やTVでもあの手この手が使われているのだが、本書ほど金をかけたものはないのではなかろうか? 作者の着想の豊かさがよくわかる。
読了日:09月19日 著者:マイクル・コナリー
証言拒否 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)の感想
今回も見事にやられてしまった。思いもよらない方法だった。とにかく、脱帽。 さて、主役のミッキーは今後どうなるのやら。そしてハリー・ボッシュが次はもっと活躍してくれるのかどうか。 続きが気になります。
読了日:09月20日 著者:マイクル・コナリー
天国でまた会おう(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
全てが収まるべき所に収まって終わったのだが、だからといってちっとも大団円じゃないのがスゴイというか……。 映画で見たらもっとスッキリするのかな? どちらにしても、フランスの作品はあんまり肌に合わないや。
読了日:09月21日 著者:ピエール ルメートル,Pierre Lemaitre
罪責の神々 リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)の感想
前作の最後は何か希望に満ちたものだったはずなのに、本作の冒頭ではそれがなかったことに……どころか新たな不幸の元になっているのに愕然としてしまった。がんばってもがんばっても幸せになれないアメリカの人たち。昔はちゃんと働いてある程度の給料を貰えるようになったら家を買って家族で住めば幸せになれたはずだったのに、いつから変わってしまったのか。それは日本も同じだが、働いて得られる程度金では精々生きてていられるだけなのだ。「幸せ」は他者をおしのけてでも「大金」を儲けなくては得られないものになったのだ。読むの辛いわ。
読了日:09月29日 著者:マイクル・コナリー
罪責の神々 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)の感想
シリーズ中最もハードな展開で、登場人物が肉体的に痛めつけられるシーンも多く、話はおもしろいのに読み続けるのがしんどくて何度も本を置いた。この懊悩を抜けるには最後まで読み通すしかない。 このシリーズはアメリカの現実をあぶり出しているのだが、一般市民の生活がどんどん脅かされてていく様子がよくわかる。普通に働いていれば普通に幸せな人生が歩めた時代はとっくに過去のものとなってしまったと、誰もが思い知らされている。真っ当に生きることに価値が見いだせなくなった時、人はどうするのか。何をするにも金だけが頼りの世の中で。
読了日:09月30日 著者:マイクル・コナリー
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