10月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:3980
ナイス数:44
狙撃手のゲーム(上) (海外文庫)の感想
例によってボブ・リーが人生を振り返ってぼやいてる…のかと思ったら、今回はそうでもない。あら? と思ったら瞬く内に事件に腰までどっぷりつかってニックの協力を仰いでいた。その頃にはすっかり夢中になって、読書を先に進めたくてたまらないがでも読み終わるのが惜しい……という状況に。ほんの数ページでこれだけの気持ちにさせてくれるのはさすが。著者も訳者も素晴らしい。冒頭に登場してくる女性はCSIマイアミに似たようなゲストキャラが居たのを思い出す。本書の境遇の方がずっと悲惨だが。彼女の執念がある狙撃手の居場所を割り出し…
読了日:10月20日 著者:スティーヴン・ハンター
狙撃手のゲーム(下) (海外文庫)の感想
今回は大半が頭脳戦。ボブ・リーの狙撃手としての経験や考え方で敵の所在をあぶりだそうとするのが目新しく、面白い。著者も70代なのに、次々に最新機器を取り入れて作品を盛り上げていくのに感心する。そしてこれは彼の銃器への偏愛っぷりが色濃く書かれている作品でもある。推し弾の描写なぞ、まさにオタク魂炸裂。映画に対する言及も数々あるのが楽しい。ミステリーとしては敵の居場所や目的を数少ない手がかりから追うのが主眼。真犯人を捜すのでも隠された動機をときあかすのでもないのに、ちゃんと面白い小説になるもんだと感動しました。
読了日:10月21日 著者:スティーヴン・ハンター
フェルメール 光の王国 (翼の王国books)の感想
フェルメールは日本にもよく来るし、海外の美術館でも見に行くので、自分がかなりの数を実際に目にしていたことに気づく。そのワリにはよく見てなかったんじゃないかとも…。だってね、彼の絵って小っちゃいんですよ! さて本書のキモはレーウェンフックの手稿に添えられたスケッチの幾つかが彼の手によるものではないかという仮説にあるのだが、証明するものが何もないので単なる仮説に終わっているのが残念。まあ、フェルメールの絵が展示されている美術館等のたたずまいがよくわかるのはよかった。
読了日:10月24日 著者:福岡伸一
フェルメール 隠された次元 (翼の王国books)の感想
前作より面白い。新たな謎に対し前作よりも迫っているから。図版で見られるリ・クリエイト・フェルメールは色が美しくて光りも明るく、実際に描かれた時の絵はこんな姿だったのだろうとわくわくする。今見る絵では判然としない部分もかなり見分けられるのが嬉しい。ところで前作にも出てきた著者の運命の一冊である「微生物の狩人」は私も中学時代夢中になった本。読んだ後で真剣に微生物学者になろうと思ったものだ。また本書で言及される「コミューター鉄道」はリーアム・ニーソンの映画「トレイン・ミッション」で見た事がある。確かに快適そうだ
読了日:10月25日 著者:福岡伸一
異常快楽殺人 (角川ホラー文庫)の感想
連続殺人鬼といえばきょーび映画やTVで大活躍ですが、そこに出てくる犯人が普通に思える程、本書で実録されてる7人は不潔で薄気味悪い。彼らの犯罪が長期間見逃されてきた理由の一つに「気味悪いから目を背けておきたい」という周囲の人々の心理が働いていた場合もあると思う。ここで「コイツ怪しい」と注目する少年が出てくると、「フライトナイト」みたいな映画になるのだろう。スティーブン・キングが好きそうなネタだと思ったら、なんと「It」の元ネタになったポゴという殺人ピエロも本書で紹介されていた!「プカプカ浮かぶ」まであるとは
読了日:10月26日 著者:平山 夢明
たまさか人形堂物語 (文春文庫)の感想
文章の上手さと人形に関する知識の豊富さで読ませてしまう作品。登場人物のキャラが立っていて愛着が湧く。日本的な決着の付け方で白黒ハッキリしないまま終わるのが私の好みではないが、それでもどんどん読んでしまう。それにしてもこれ、ジャンルは何かしら?
読了日:10月29日 著者:津原泰水
読書メーター