一風変わった、だけど微笑ましい、でもそれだけじゃない映画。

「だれもが愛しいチャンピオン」を試写会で見てきました。

 

いや~、笑ったわ!

 

 

ゴヤ賞というのはスペインのいわばアカデミー賞。

その作品賞を受賞しているのがこの映画。

本家のアカデミー賞では外国語映画賞のスペイン代表作品となってます。

 

 

で、この映画見てまず思ったのが、「へー、スペインってサッカーだけじゃなくてバスケットボールも盛んなんだ~」ぐらいでしたが、そんな私でも全然問題なくこの映画は楽しめました♪

 

 

登場人物はいわゆる知的障害者の方達です。俳優が芝居しているのではなく、実際の方々。かつて「glee」にもダウン症の登場人物が出演してましたが、今回はなにしろバスケチーム全体がそうなのでなかなか迫力があります。

 

でもね、すぐに見慣れちゃうんですよ。

見慣れてくると、それまで違う部分ばかり探していたのがひっくり返り、自分達と同じところを数え上げるようになります。

同じ人間ですもの、違うところより共通している部分の方が多いんです。

 

それが主人公のマルコが気づいたことでもあるんですよね。

 

 

この映画、同じ題材で日本で撮ったら絶対家族の話が出てきて涙ながらに苦労を語って同情を誘ったり、絶望した監督が酒に溺れたのを昔の仲間に叱咤激励されるシーンで感動をあおったり等、クッサイお涙ちょうだいになったのでしょうが、スペイン映画はそんなつまんないことしないのです。

 

もう、ひったすら主人公のマルコを突き放して、彼の困惑顔を観客に見せまくる! 

 

で、このマルコが偉いのは、相手に下手な同情しないんですよ。

「あ、こういう人なのか」

とそのまま受け止めて、じゃあどうやったら自分の意志を伝えられるかを考え、工夫する。

 

指導者という立場では上に立ってるんですが、一個の人間としては対等に振る舞う。いつの間にかそんな風に、マルコ自身が変わってるんですよ。

 

このマルコって、最初はとんでもなくイヤな野郎だったんですが、チームのみんなと関わる内にごく自然と……いや、そりゃまあ最初はたいそう葛藤してたしすったもんだもありましたが……角が取れて丸くなっていくんです。ええ、マルコだけに(こりゃまた失礼!)

 

物語の主軸はずっとマルコにあって、これは彼の成長物語なんですね。いいトシしたおっさんが「成長」ってなんじゃいって話ですが、それはラストをお楽しみに♪

 

12月27日からロードショーなので、チャンスのある方は是非ご鑑賞ください!