12月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:4568
ナイス数:82

 

ブラック・ハート〈上〉 (扶桑社ミステリー)ブラック・ハート〈上〉 (扶桑社ミステリー)感想
不遇と書いてボッシュと読む。ボッシュの将来が不安で読み続けるのが辛くなる。主人公にのめりこんで読むタイプの読者には最も恐ろしいスリルとサスペンスがここにある。書かれたのは94年で、ボッシュを取り巻く警察にはロス暴動が影響を強く及ぼしている。時代が激しく変化する渦中にとりこまれ、ボッシュは自分ではどうにもできないパワーに翻弄されるのだ。彼に優しい恋人がいてくれるのだけが救いだ。
読了日:12月22日 著者:マイクル コナリー


ブラック・ハート〈下〉 (扶桑社ミステリー)ブラック・ハート〈下〉 (扶桑社ミステリー)感想
まるで最近のテレビドラマのクライマックスのような展開。ということは、そもそも本書が元になっているのだろう。直接の原作といよりも、一種の教科書的な役割として。とにかくおもしろい! 読者はとことん振り回される。本書では法廷のシーンが多く、民事を扱っている弁護士が出てくる。そのキャラクターが非常に魅力的で、後の「リンカーン弁護士」の原形がここにあるのではないかと思った。それにしても書かれた順番通りに読まないとダメだわね、このシリーズは。
読了日:12月22日 著者:マイクル コナリー

 


ラスト・コヨーテ〈上〉 (扶桑社ミステリー)ラスト・コヨーテ〈上〉 (扶桑社ミステリー)感想
マイクル・コナリーは後づけの天才なのか。ハリー・ボッシュを登場させた時、一体どの辺まで考えていたのだろう? 恐らくはボッシュの存在がその後の話を呼び、その世界に生を得たキャラクター達がそれぞれの人生を歩み始めたのだろう。魅力のある主人公に出生の秘密は付き物とはいえ、一作目でこうなるとは予想もしていなかった。さて、95年作になるとドラマ「CSI」でおなじみになったAFISが登場。さらに登場人物達が携帯電話を持ち始め、ボッシュの無鉄砲さには磨きがかかる。彼が潜入した邸宅は映画「ナイスガイズ」に出てきたものか?
読了日:12月23日 著者:マイクル コナリー


ラスト・コヨーテ(下) ハリー・ボッシュ・シリーズ(4) (扶桑社BOOKSミステリー)ラスト・コヨーテ(下) ハリー・ボッシュ・シリーズ(4) (扶桑社BOOKSミステリー)感想
毎度の事ながら、作者の手練れの技にどこまでも引き回されてる感じ。それとなく巧みに配置された人物に、順番通りに怪しさを感じさせられては、残念でしたとばかりに置き去りにされてしまう。途方に暮れるまもなくまた新しいエサに飛びついて……何度でも繰り返してしまう自分が情けない。これ、映画だったらどんでん返しが多すぎて逆に「またか」と飽きるタイプ。小説だからこそ、ボッシュの心情が事細かに書かれているからこそ、最後まで面白くく読めるのだ。 読んでるとドラマの「ブラック・リスト」や「コールド・ケース」を彷彿とさせられる。
読了日:12月23日 著者:マイクル・コナリー

 


トランク・ミュージック〈上〉 (扶桑社ミステリー)トランク・ミュージック〈上〉 (扶桑社ミステリー)感想
舞台がLAとラスベガス。ベガスといえば、そう! ドラマ「CSI」の本拠地ではありませんか~♪ TVで電飾眩い高層ホテルやカジノの中をさんざん見たと思っていたが、文章で描写された方がその途方もなく金がかかっている様子がずっとよく分かるのだった。賭博は結局胴元に金が転がり込むしかけであることも。丁度今、日本ではカジノ誘致に関わった政治家が逮捕されたりしてニュースを騒がせてるのでタイムリーだった。年末の流行語大賞ではイチローの引退の言葉が流されてたが、本書にはドジャースの野茂の名前が出ていたものだ。時代を感じる
読了日:12月26日 著者:マイクル コナリー


トランク・ミュージック〈下〉 (扶桑社ミステリー)トランク・ミュージック〈下〉 (扶桑社ミステリー)感想
前半でバラバラに広げられたパズルのピースが後半になると急激に収束して一つの絵が見えてくるのがこの作者の常だが、本作はその予想した図が何度もガラリと様相を変えていくのが特徴。前作で地震被害にあっても住み続けていた自宅が取り壊され、それと共に古い自分をも捨て去ったのかと思いきや、ボッシュの好んでトラブルにはまり込む性格&生き方は健在で、毎度の事ながら彼を心配するというサスペンスが盛り上がる。警察は多様化を受け入れるようになるが、その点では彼は柔軟なのが嬉しい。下巻はチャンドラーを彷彿とさせる要素があって胸アツ
読了日:12月31日 著者:マイクル コナリー

読書メーター