第92回アカデミー賞最多ノミネートは『ジョーカー』!S・ヨハンソンが主演&助演のWノミネート<
>ロサンゼルス時間の1月13日早朝5時過ぎ(日本時間13日22時過ぎ)に、第92回アカデミー賞全24部門のノミネーションが発表された。今年のノミネーションは、『ヘイト・ユー・ギブ』(18)などに出演する女優、イッサ・レイと、映画『search/サーチ』(18)に出演した韓国系アメリカ人俳優、ジョン・チョウがロサンゼルスに建設中のアカデミーミュージアム内のシアターからウェブストリーミングを通じて発表。
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最多ノミネートは『ジョーカー』(19)の11部門、そして『アイリッシュマン』(19)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)、『1917 命をかけた伝令』(2月14日公開)の10部門とが続く形となった。『パラサイト 半地下の家族』(公開中)は国際長編映画賞だけでなく、作品賞、監督賞、脚本賞など主要賞を含む6部門にノミネートされ大健闘。韓国映画として初のノミネートなだけでなく、主要部門にも食い込む快挙となった。『ジョジョ・ラビット』(1月17日公開)もスカーレット・ヨハンソンの助演女優賞ほか6部門、同じくスカーレット・ヨハンソンが主演女優賞、アダム・ドライバーが主演男優賞、ローラ・ダーンが助演女優賞にノミネートされた『マリッジ・ストーリー』(19)は6部門、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(3月27日公開)はシアーシャ・ローナンの主演女優賞ほか6部門にノミネートされた。日本から出品されている『天気の子』(19)は長編アニメ映画部門のノミネーション選外となった。
昨年の第91回アカデミー賞で、『ブラックパンサー』(18)がアメコミ原作映画として初めて作品賞にノミネートされたことが記憶に新しいが、今年は『ジョーカー』が作品賞、監督賞、主演男優賞など最多11部門でノミネートという大金星となった。また、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演男優賞という主要賞へのノミネートを制覇している。
2019年は、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のグレタ・ガーウィグ監督、『フェアウェル』(4月公開)のルル・ワン監督、『ハスラーズ』(2月7日公開)のロレーヌ・スカファリア監督、『Beautiful Day in the Neighborhood』のマリエル・ヘラー監督など、女性監督の活躍が目覚ましい年だったが、監督賞候補はすべて男性監督で占められた。このことを憂うように、ノミネーションを発表したイッサ・レイが「ノミネートされた“男性たち”、おめでとうございます」とコメントしたのが印象的だった。
また、ノミネートが各実視されながらも選外となったのが、『ハスラーズ』ではまり役を演じたジェニファー・ロペス、『ロケットマン』でエルトン・ジョンを演じたタロン・エガートン、『フェアウェル』でゴールデングローブ賞ドラマ部門主演女優賞を受賞したオークワフィナだった。
主演女優賞と助演女優賞にノミネートとなったスカーレット・ヨハンソンは、史上12人目のWノミネート。シアーシャ・ローナンは25歳ながら4度目のオスカーノミネーションを受けた史上最年少。アダム・ドライバーは昨年の『ブラック・クランズマン』(18)に続き2年連続のノミネートとなった。マーティン・スコセッシは9度目の監督賞ノミネートで、現存する監督で最多ノミネートとなった。日本関係者のノミネートは、カズ・ヒロ(辻一弘)がメイクアップ&ヘア・スタイリング賞に第90回アカデミー賞において『ウィンストン・チャーチル』でオスカーを受賞して以来4度目のノミネート。長編アニメ映画部門にノミネートされた『クロース』のジンコ・ゴトウは、プロデューサーとしてクレジットされている。長編ドキュメンタリー賞の『アメリカン・ファクトリー』は、オバマ元大統領とミシェル夫人が設立した映画会社によって北米劇場配給された作品で、彼らにとって初のノミネートとなった。
全部門を合わせたスタジオ別のノミネート数は、Netflixが24、ウォルト・ディズニー・スタジオが23、そしてソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントが20、ワーナー・ブラザースの12と続く。Netflixがスタジオとして最多ノミネートを獲得したのは初で、ディズニーが20世紀FOXを買収合併し、FOXサーチライト・ピクチャーズの『ジョジョ・ラビット』とFOXの『フォードvsフェラーリ』を含む23ノミネート、そしてワーナーは『ジョーカー』が11部門最多ノミネーションを得たことにより計12ノミネートとなった。
特筆すべきは、独立系配給会社のNEONが『パラサイト 半地下の家族』の6部門、北マケドニアの『Honeyland』が国際長編映画賞と長編ドキュメンタリー賞の2部門にノミネートされ、計8部門でのノミネーションを獲得したことが、各スタジオが熾烈なアカデミー賞キャンペーンを張るなかで快挙となった。
このノミネーション発表を受け、アカデミー会員による投票は日本時間の1月30日(木)~2月4日(水)に行われ、1月27日(金)には、候補者を集めた恒例の昼食会が開催される。
■ 作品賞
『アイリッシュマン』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『1917 命をかけた伝令』
『ジョジョ・ラビット』
『マリッジ・ストーリー』
『パラサイト 半地下の家族』
『フォードvsフェラーリ』
『ジョーカー』
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
■ 監督賞
マーティン・スコセッシ 『アイリッシュマン』
トッド・フィリップス 『ジョーカー』
サム・メンデス 『1917 命をかけた伝令』
クエンティン・タランティーノ 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
ポン・ジュノ 『パラサイト 半地下の家族』
■ 主演男優賞
アントニオ・バンデラス 『Pain & Glory(英題)』
レオナルド・ディカプリオ 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
アダム・ドライバー 『マリッジ・ストーリー』
ホアキン・フェニックス 『ジョーカー』
ジョナサン・プライス 『2人のローマ教皇』
■ 主演女優賞
シンシア・エリヴォ 『ハリエット』
スカーレット・ヨハンソン 『マリッジ・ストーリー』
シアーシャ・ローナン 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
シャーリーズ・セロン 『スキャンダル』
レニー・ゼルウィガー 『ジュディ 虹の彼方に』
■ 助演男優賞
トム・ハンクス 『Beautiful Day in the Neighborhood』
アンソニー・ホプキンス 『2人のローマ教皇』
アル・パチーノ 『アイリッシュマン』
ジョー・ペシ 『アイリッシュマン』
ブラッド・ピット 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
■ 助演女優賞
キャシー・ベイツ 『リチャード・ジュエル』
ローラ・ダーン『マリッジ・ストーリー』
スカーレット・ヨハンソン『ジョジョ・ラビット』
フローレンス・ピュー『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
マーゴット・ロビー『スキャンダル』
■ 長編アニメ映画賞
『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』
『失くした体』
『クロース』
『ミッシング・リンク』
『トイ・ストーリー4』
■ 国際長編映画賞
『レ・ミゼラブル』(フランス)
『Honeyland』(北マケドニア)
『Corpus Christi』(ポーランド)
『パラサイト 半地下の家族』(韓国)
『Pain and Glory』(スペイン)
■ 撮影賞
『アイリッシュマン』
『ジョーカー』
『The Lighthouse』
『1917 命をかけた伝令』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
■ 衣装デザイン賞
『アイリッシュマン』
『ジョジョ・ラビット』
『ジョーカー』
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
■ 長編ドキュメンタリー賞
『アメリカン・ファクトリー』
『The Cave』
『ブラジル -消えゆく民主主義-』
『娘は戦場で生まれた』
『Honeyland』
■ 短編映画賞
『兄弟愛』
『向かいの窓』
『Nefta Football Club』
『Saria』
『A Sister』
■ 編集賞
『フォードvsフェラーリ』
『アイリッシュマン』
『ジョジョ・ラビット』
『ジョーカー』
『パラサイト 半地下の家族』
■ メイクアップ&ヘアスタイリング賞
『スキャンダル』
『ジョーカー』
『ジュディ 虹の彼方に』
『マレフィセント2』
『1917 命をかけた伝令』
■ 作曲賞
『ジョーカー』
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
『マリッジ・ストーリー』
『1917 命をかけた伝令』
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
■ 歌曲賞
“I Can’t Let You Throw Yourself Away” 『トイ・ストーリー4』
“(I’m Gonna) Love Me Again” 『ロケットマン』
“I’m Standing With You” 『Breakthrough(原題)』
“Into The Unknown” 『アナと雪の女王2』
“Stand Up” 『ハリエット』
■ 美術賞
『アイリッシュマン』
『ジョジョ・ラビット』
『1917 命をかけた伝令』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『パラサイト 半地下の家族』
■ 短編アニメ映画賞
『Dcera(Daughter)』
『Hair Love』
『Kitbull』
『Memorable』
『Sister』
■ 短編ドキュメンタリー賞
『In the Absence』
『Learning to Skateboard in a Warzone (If You're a Girl)』
『眠りに生きる子供たち』
『St. Louis Superman』
『Walk Run Cha-Cha』
■ 録音賞
『1917 命をかけた伝令』
『フォードvsフェラーリ』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『アド・アストラ』
『ジョーカー』
■ 音響賞
『1917 命をかけた伝令』
『フォードvsフェラーリ』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『ジョーカー』
『アド・アストラ』
■ 視聴効果賞
『アベンジャーズ/エンドゲーム』
『アイリッシュマン』
『ライオン・キング』
『1917 命をかけた伝令』
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
■ 脚色賞
『ジョジョ・ラビット』
『アイリッシュマン』
『2人のローマ教皇』
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
『ジョーカー』
■ 脚本賞
『マリッジ・ストーリー』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『パラサイト 半地下の家族』
『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』
『1917 命をかけた伝令』 (Movie Walker・文/平井伊都子)