2月の読書メーター
読んだ本の数:10
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ナイス数:61

 


スケアクロウ(上) (講談社文庫)スケアクロウ(上) (講談社文庫)感想
同じく新聞社を舞台にしたミステリー映画の「消されたヘッドライン」を思い出した。生粋の新聞記者がブログ記者と張り合うなんて場面やネットの台頭のせいで売り上げがどんどん落ちていくのでキリキリしている上層部など、状況が大変よく似ているのである。調べたらどちらも同じ2009年。スマホが席巻するちょっと前なので、携帯電話とノートパソコンを併せ持つのが最先端なイメージ。ボッシュにはブラックベリーが登場してたが本書では、まだ。2010年にTVドラマの「シャーロック」が世に出てスマホに取って代わられる、その直前の時代。
読了日:02月19日 著者:マイクル・コナリー


スケアクロウ(下) (講談社文庫)スケアクロウ(下) (講談社文庫)感想
「詩人」に匹敵する連続殺人鬼が出てくるが、コナリーはその内部深くにまで踏み込むことはない。真っ当な人間とは共通する部分がないという突き放し方である。そんな人間の心の中に踏み込んだ描写など必要ないという作者の判断なのだろう。本書の面白さは本筋とは別にネット社会に対する警鐘にもある。作者質疑応答に”新聞業界で失業したわたしの友人は、政府の腐敗が成長産業になると賭けてもいい”とあるが、その友人が賭に勝ったのは間違いない。社会の木鐸であったはずの新聞がその記者魂を売ればどうなるか、今の日本を見ればよくわかる。
読了日:02月19日 著者:マイクル・コナリー