5月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:895
ナイス数:27
バハマ・クライシス (1984年) (Hayakawa novels)の感想
何十年ぶりかのバグリイ。冒頭の文章一つでぐいぐい作品にひきこんでいく筆力はさすがである。書かれたのが80年なので当時の最新テクノロジーも今では古臭い限りだが、内容は全然古くない。何しろ「肺炎を発症する感染症」がいかに経済に打撃をもたらすか緻密に書かれているのだ。まさにタイムリーな読書だった。悪役の正当性についてくだくだした語りがないことや、妻子の扱い方でさすがに時代の違いを感じるが、大切なことは何も変わっていない。剛直で冷静な主人公が世界を股にかけて、国際的な陰謀を企む奴らと渡り合うのである。基本よ。
読了日:05月11日 著者:デズモンド・バグリイ
ヴァルハラ最終指令 (1983年) (ハヤカワ文庫―NV)の感想
79年上梓なので、今読むと古典的とも言える展開。筋立てというより人間関係のああり方が。主従も、夫婦も、恋人も、友人達も皆信頼で結ばれている。敵味方に立場が分かれていてさえも、相手の人格に敬意を抱けるなら協調して事にあたれるのだ。その出来事が30年前の回想として語られたにしても、70年代ならそれを美しいと受け入れられる素地がまだまだあったのだ。今はどうだろう? そんな心の余裕や深い懐がに残っているだろうか? 物語とは関係ないが、表紙カバーが生頼範義画伯の手による貴重な本をリサイクルでゲットできて嬉しい♪
読了日:05月15日 著者:ハリー・パタースン
ヒッチコックを殺せ (海外ミステリー)の感想
87年の本なのだが、恐ろしく古臭い。この手の人物風刺で滑稽さを狙った作品自体が書かれなくなったのだろう。40年弱の間に世の中が変わって、女性やLGBTの人々の地位も上がったし。第一次と第二次大戦の間でヒトラー勃興の頃の空気は出ていると思うのだが、さほどサスペンスには関わって来ない。ヒッチコック映画はテレビで放送されれば見るが、ヒッチ本人が好きなわけではないし、本書の主人公キャしても魅力が薄かったので特にドキドキする事もなかった。ヒッチの声を故熊倉一夫氏で、妻アルマの姿をヘレン・ミレンで想像しつつ何とか読了
読了日:05月03日 著者:ジョージ バクスト