12月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:3454
ナイス数:3
マイル81 わるい夢たちのバザールI (文春文庫)の感想
キングの名で飾ったアンソロジーではなく、丸ごと一冊彼の作品だと読後の充実感がまるで違う。ホラーばかりではないが、全体にぞっとする作品ばかり。表題作は往年のTV番組「トワイライトゾーン」に出てきそうな感じ。今のCGなら完璧に映像化できるはずだが、安っぽい作り物の古めかしい特撮で見るのもまた一興と思われる。いつの時代であっても普遍的な恐ろしさを醸し出しているのが「悪ガキ」。大変イヤな話である。キンドルを扱かっている現代的な「UR」はいかにもキングという話だが、ラストがどっちに転ぶか分からずハラハラした。
読了日:12月09日 著者:スティーヴン・キング
夏の雷鳴 わるい夢たちのバザールII (文春文庫 キ 2-62 わるい夢たちのバザール 2)の感想
はあ、やっぱりキング&風間訳の文章は流れるようで美しいわ。どうせ本読むならこういうのがいいわ。一カ所「ガラリヤ」とあるのが「ガリラヤ」の間違いだ思うけれど、それは校正が悪いのだわ。気になったのそこだけなんだから近年稀に見る出来映えだって。本書では短編ごとに人称も語り口も違うのが楽しい。笑ったのが「酔いどれ花火」で米独立記念日に花火を打ち上げる習慣を下敷きにしたもの。独立記念日の花火はキングお気に入りのネタらしく、昔映画の脚本にも使ってましたわ。「死霊の牙」というタイトルで、なかなか良いホラー映画でしたよ。
読了日:12月30日 著者:スティーヴン・キング
生物学探偵セオ・クレイ 街の狩人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
いや~面白かった! 前作の経験を踏まえセオが身を守るスキルや人間関係を円滑にすすめる術を積んでるのがよい。犯罪を嗅ぎつけ、犯人を追う手法も新しいものが次々に出てきて最先端。本書で行われているやり方が実際に可能ならば昔読んだSFの世界そのままだ。セオは存在しないので架空の設定だと思いたいのだが、今はまだでもじきに現実化するのかもしれない。本書で描かれる殺人犯は恐ろしい。しかしそれよりさらに恐ろしい人間や組織が存在しうるというのが……これは現実にありそうすぎて、とてもいやだった。読後感がスッキリといかない。
読了日:12月22日 著者:アンドリュー メイン