1月の読書メーター
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ナイス数:28
怖い絵の感想
著者の「名画で読み解くブルボン王朝12の物語」にダヴィッドの「マリー・アントワネット最後の肖像」は本書で書いたとの言及があったので読んでみた。「怖い」とタイトルに頂いたせいか本書の文体は一種独特である。そもそも一見しただけでは特に怖くない絵画が大半なのだ。そこに「怖さ」を見いだすためには広範な知識と深い教養が必要だが、それを自慢と受け取られないためには節度と諧謔が要求されるのだろう。描かれている文物を描写しつつそれが何を意味しているかの解説を遂げ、しかも短く終わらせているのだから凄い。著者が一番怖い人かも
読了日:01月12日 著者:中野 京子
名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)の感想
プラド美術館展やその他で実際に目にした作品がカラー写真で多く紹介されていたので感慨もひとしおだった。「エリザベート皇后」の肖像はウィーンでは行く先々で複製画が飾られていて、彼女が今でも愛されているのがよくわかった。あの髪飾りとドレスは映画「オペラ座の怪人」でクリスティーヌの舞台衣装にも流用されている。そのように美しい作品群の最後に出てきたマネの「マクシミリアンの処刑」が全然どうってことないので他になかったのかなあと思ったら、著者がまあ糞味噌にけなす事けなす事。そういう紹介の仕方もあるのかと納得したのだった
読了日:01月22日 著者:中野 京子