12月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:2006
ナイス数:51

マヤ・アステカの神々 (Truth In Fantasy)マヤ・アステカの神々 (Truth In Fantasy)感想
映画『ブラック・パンサー ワカンダ・フォーエバー』を見たので興味を持った。「メソアメリカ」という言葉が初耳だったので、巻頭でそれが紹介されてて有り難かった。一番ショックだったのは”かつて、古代の文明はいずれも大河の流域で発達したと、考えられていた時代があった”。の一文。今は違うの?!と隔世の感。マヤ・アステカ文明は河川に頼らず、ほとんどの場合雨と貧弱な泉が生活用水でありながら巨大なピラミッドを建設し独自の文字を作り上げたと。彼らの神話の世界観が河川文明のそれと全く違うのはそのせいか。物語の形式も全然違う。
読了日:12月06日 著者:土方 美雄


ハリスおばさんパリへ行く (fukkan.com)ハリスおばさんパリへ行く (fukkan.com)感想
『ミセス・ハリス パリへ行く』が楽しい映画で、原作もよいと勧められたので。確かによい。懐かしいこの感じ。まだ女性の社会的地位が低い頃、その時代の中でしゃんと生きてたおばさまの話。職業が通いのお手伝いさんであっても卑下することなく、自分の仕事に誇りを持って生きている。だから低賃金でも雇い主との人間関係は対等。そして誰にでも親切。ハリスおばさんは生きる尊厳なのだ。その持ち前のファイトと優しさはパリでも発揮されて周囲の人々に幸せをもたらす。うん、昔はこういう作品が多かった。映画は時代はそのままで現代風にアレンジ
読了日:12月07日 著者:ポール ギャリコ


Mrs. Harris Goes to New YorkMrs. Harris Goes to New York感想
読んだのはこれ(洋書)ではなく『ハリスおばさん パリへ行く』と同シリーズの続編『ハリスおばさん ニューヨークへ行く』なのだが新旧アマゾンで検索しても何故か出てこなかったので。シリーズの他の作品はあるのに『ニューヨークへ行く』だけがない。ちなみに私は図書館で借りたので2014年5月20日に出版された物。だから同時多発テロの影響ではなさそう。1960年頃のNYの様子がユーモラスかつ人情味厚く描写されているのにどうして扱われなくなったのだろう?あれか?作中のプレスリーを模した人物が人間のクズ扱いな描写だからか?
読了日:12月08日 著者:Paul Gallico


ハリスおばさん国会へ行くハリスおばさん国会へ行く感想
原著は1965年なので作中にビートルズの名前が出てくる。テレビがロンドンの一般家庭にも普及し、アメリカの番組も放送されている。だが英国はインフレにつぐインフレで刻々と物価が上がり庶民の生活が脅かされている。この辺は今の日本と似ているのだが、違うのは選挙に対する熱情。アメリカのやり方と対比して紹介される英国の選挙事情が興味深い。首尾良く国会議員に当選した後の過ごし方も皮肉が効いている。ハリスおばさんは本作ではとても辛い経験をする。理想と現実の違いを明快に描きつつ、それでもハリスおばさんは尊厳を失わない。見事
読了日:12月09日 著者:ポール・ギャリコ 著 / 亀山龍樹 訳


ハリスおばさんモスクワへ行くハリスおばさんモスクワへ行く感想
原著は1974年。東西冷戦も緊張緩和の時代、ソ連の首都モスクワにはジャンボジェットが就航していた。観光客向けのパンフレットこそ美麗なれど現地ではないものだらけ。本書で言及されている作家はソルジェニーツィンで著書は『収容所群島』だろう。ハリスおばさん、スパイもかくやという働きぶり。それにしても前作のラストでいい雰囲気になった人はどこへ消えたのか。そもそも居もしなかった事になってるっぽいのが英国的ではある。訳者が逝去により途中から代わったそうで、ハリスおばさんの発音がロンドン訛りだと分からなくなって残念。
読了日:12月11日 著者:ポール・ギャリコ 著 / 亀山龍樹 遠藤みえ子 訳


20世紀の幽霊たち (小学館文庫)20世紀の幽霊たち (小学館文庫)感想
アンソロジー。映画『ブラックフォン』の原作、『黒電話』はとても短くてビックリ。ストーリーの骨子を生かしてふくらませた脚本に感心してしまう。他の作品はどれも陰惨で残忍で読後は空しさに襲われる。なんでこんな心安まりも楽しくもならない作品読んで時間を無駄にしたのかと。読んでる間は手が止まらないのでストーリーテリングには長けているのだろうが、登場人物が幸せになるのを頑として拒む作者の態度に辟易した。アメリカの文学ってそうじゃなきゃいけないのか? 無力感とかやり場のない怒りとか見え隠れする差別と階級意識の描写ばかり
読了日:12月18日 著者:ジョー ヒル

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