インディの前にインド映画を見てまして、これが滅茶苦茶面白かったのですよ。ヴィジャイタラパティの映画見るのは『マスター』に続いてこれが二本目だけど、一本通った芯のある人なんだとよく分かる。マイノリティに光りをあててくれるんだ。ビギルではそれが女性達でした

 

さっき『インディ』の時にヒロインの話をしなかったのは、先に『ビギル』見てるとヘレナのキャラクターが底が浅すぎて同じ女と思えなかったからですよ。あのキャラが女である理由は、男を惑わす肉体を持ってるという以外になかったからね。まあ『インディ』の女性キャラはいつもそんな感じだけど。 

 

#ビギル に出てきた二人の女性は短いエピソードの中に女性だからこその不幸が凝縮されていて、胸が抉られてしまった。特に18才でストーカーに殺された女性のニュースが出たばかりだったから、身につまされて。日本ではその被害者に責めを負わすような発言する男も多くて。タラパティを見習えってんだ
 
#ビギル であれっと思ったのは、字幕に「ヤクザ」という言葉が使われていたこと。マフィアじゃなくてヤクザなんだ? と思って見てたんですが、うん、確かにこれは「ヤクザ」だわ。といっても半世紀ぐらい前の任侠映画のそれだけど。いや親分、かっこええわ~。めっちゃ昔見た感じだけど、痺れるわ~
 
これが白髪だけどタラパティの二役で、年配の演技はしてるものの身体そのものは若いからかっこいいのなんの! ルンギが着流しに見えてくる程、昔のヤクザ映画のかっこいい親分さん(大抵映画半ばで凶刃に倒れ、主人公が復讐を誓うタイプ)そのもの。ドスじゃなくてナタとかカマとか使うのがインド式 
 
で、そんなヤクザ映画がどうやったら女子サッカーで女性をエンパワメントする映画になるのかと思うでしょ。それができちゃうんだわ。見事なフュージョンで、とにかくこの脚本はスゴイと思った。監督も一緒にこなすアトリ氏は才人ですな。見てる間はヤクザ映画なのに見終わると女性が勇気づけられてる
 
そしてタラパティは、す・て・き♪ この方、全身バネですねえ。動きのひとつひとつがいつも弾んでるような気がする。若い役の時でも年齢の違いがあって、学生で未来が輝いている時と、数年後に夢を失って日々ちゃらけて過ごす時の演技がまた違うのよ。『フラッシュ』のエズラにも全然負けてないよ