#アラヴィンダとヴィーラ JAIHOで観賞。これを見る前に界隈でオススメの #インド残酷物語 を読んでおいて本当に良かった。映画を見る際の解像度が読むと読まないでは全然違ったはず。現代が舞台のインド映画を見るための必読書というのはホントだわ。
 

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%AE%8B%E9%85%B7%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%80%E3%81%9F%E3%81%8F%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%84%E6%B0%91-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%B1%A0%E4%BA%80-%E5%BD%A9/dp/4087211916/ref=sr_1_1?adgrpid=132148822307&hvadid=651369420668&hvdev=c&hvlocphy=1009255&hvnetw=g&hvqmt=e&hvrand=14692135445348216864&hvtargid=kwd-1439404260888&hydadcr=11013_13607516&jp-ad-ap=0&keywords=%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%AE%8B%E9%85%B7%E7%89%A9%E8%AA%9E&qid=1688461497&sr=8-1

 

この映画に限らず、インド映画は「ファクション」が如何なる物か心得てないとお口ぽかんで始まってそのまま終わる可能性が高いです。「なんでいきなりそんな大勢で殺し合いを始めるの?!」と。まあ簡単にいえば縄張り争いなんですけど。 

 

ただその「縄張り」が様々なんですよね。土地であるとか商売上の区分けであるとか選挙区であるとか。そこに利権も絡むし、インドの場合は出自の問題もあるので細かい事は多分日本人にはよく分からないのです。まあ要するに、縄張りを巡って血で血を洗う抗争を一族あげて延々続ける人達がいるんですよ 

 

日本と違うのは、それを堂々とやってる地域には司直の手が及ばないって事ですね。インド、法治国家だと思ってましたが、広すぎて、かつ歴史も長すぎて、法の手の届かない地方も多いらしい。地域によっては警察の買収も当たり前。という訳で周囲が納得する事情があれば殺人は問題にされないらしいです。

 

で、「ファクション映画」では対立する家同士の抗争における殺人を咎めに来る人はまずいないのですね。身内の誰かが殺されれば仇討ちし、その仇をまたとって、の繰り返し。その辺は日本のヤクザ映画と同じなんですが、インドの場合は血縁関係で結ばれているので仇への憎しみがより強いのです。 

 

#アラヴィンダとヴィーラ はそういう憎しみの連鎖をなんとか断ち切ろうという努力の話です。だってあまりに生産性がないもんね。そのためには「対話」が必要だと言う話をヒロインがするのが大変素晴らしいと思います。そう、これもある意味女性をエンパワメントする作品なんですよ。
 
とはいえ敵のボスを「対話」のテーブルにつかせるまでに相手の子分を切って切って切りまくるのが主人公なんですが。ここで話し合うのは男同士なので、どっちが強いかを充分見せつけた上で、「こちらが矛を収めるから話を聞け」としないと始まらないんですよ。残念ながら、人類ってそうできてるのよ。 
 
でもね、この主人公がタラクアンナなんですよ。無敵だけど留学帰りで世界を知ってて頭もいい。だから田舎でつばぜり合いを繰り返していても先がないことが分かっている。その解決策として思いがけない事をするんですが、これが快哉を叫びたくなる決断でね♪ アンナさすがだわと思っちゃいました♪ 
 

 

 

#アラヴィンダとヴィーラ のタラクさんはビームの温かみを外見には全く現さず、ただ目の奥にのみ秘めて表現しているようです。引き絞った身体もそうですが、体毛も全部剃ってギラギラした刃のような雰囲気を身に帯びてます。これRRRの前の出演作だそうで、よくぞここまで違う役をと感激しちゃいました。
 
怒りの表現も違うんですよね。ビームの場合は憤怒(ふんぬ)で、形相も恐ろしく群がる英兵を退治するって感じでしたが、ヴィーラ役の時は瞋恚(しんい)なんですよねえ。とめどなく湧き上がる個人的な怨恨を多少なりとも軽減させようと殺戮の限りを尽くしたものの、かなわなかった…みたいな苦悩さえ感じます。
 
そういう意味ではヴィーラもビームと同じく「火山」みたいなものですか。ただビームはその熱さが表面にも自然と出てくるのに、ヴィーラでは奥に奥に押し込められ、圧力のせいでより燃え盛っているのに、それを覆うための氷の鎧が絶対零度って感じかな? そのアンビバレンツが魅力なんですけど♪