#ランガスタラム 結末を知った上で二回目を見ると、最初からあのラストに向けて緻密に構成され、巧みに演じられた作品であることが分かる。インド映画という枠組みにおいてのみ語られるのは惜しい。これは『ユージュアル・サスペクツ』レベルの傑作なのだから。監督・脚本のスクマールは才人ですな!
 
『ユージュアル・サスペクツ』をひきあいに出したのは、最後に全てがひっくり返るから。私にとって、それは映画観賞最大の快楽。「やられたー!すっかりだまされた~!」って、映画ファン長くやってるともうそんなには経験できない事だから。昔はヒッチコックという名監督がそれメインでやってたけどね 
 
#ランガスタラム にヒッチコック風味はないけれど(サスペンスで盛り上げないから)、「一本取られた!」という「参りました」な感想に至るのは共通してると思う。でも作劇的には『ユージュアル・サスペクツ』なんだよね。この作品、監督も主演俳優ももう名前も出せない感じなんだけど、それでも名作
 
最初見た時にも思ったんだけど、これ、ラストのシークエンスだけで一本の作品として成立するのよね。ネタバレにならないように書くと、祝宴で忙しい屋敷の前でその家の主人に会わせてくれるよう遠慮がちに頼む人のシーンから。インドだから、カーストが低いのでそういう扱いされるのかなと漠然と思う。
 
そこからはチャランがほぼ一人芝居で作品を作り上げていくのよ? 私まだパンフ読んでないんだけど、ひょっとしてそういう舞台があったとしても全然驚かないな。 このシークエンスのチャランの演技がとにかく凄くて、 実際『ユージュアル~』のケヴィン・スペイシーにも劣らない演技だと思う。 
 
チャランは、チッティとしてそのシーンで「演技」してるんですよ。そのシークエンスの初めからチッティがそれまでとは別人のようだったのは、チッティがそう演じていたから。彼には演じる事で相手を油断させて本心を吐き出させようという計画があった……という役をチャランは完璧に演じきっているの
 
あのシークエンスだけで起承転結あって、それに合わせてチャランは表情を変え声を変え最適な演技を行っているから、それだけで一つの作品として成立できると思う。それをラストのクライマックスにするために他の全てのエピソードを加えていったのなら、空前絶後のミスディレクション映画だと思うわ。
 
 
最近話題になった作品なら #ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 あたりが近いかも。要するに、インド映画だからとミステリーやサスペンスのファンが顧みないのはあまりに惜しいのですよ #ランガスタラム 。だってこれ、インドの #ユージュアルサスペクツ だもん。最後に顎が外れるぐらい驚いて!