「 高そうな ワンちゃんですね 」
散歩してるとき ほんの ときどきだけど
そんなふうに 声をかけられることが ある
ママくんは あいまいな ニッコリ顔で
あいまいな へんじを する
困ったとき ママくんは いつも あいまいになる
ボクのねだんを きいたひとが
通りすぎて行った あとで
ボクに ぽつりぽつり ママくんは 話しかけてきた
あの遠くにある空や ぽっかり浮かんだ雲や この風に
ねだんがないのと 同じように
きみにも ねだんは ないんだよ
きみを うちにつれて来る日に お金を渡したのはね
きみが生まれてから 今日まで
毎日 いろんなお世話をしてもらった お礼なの
ボクは ねだんのことなんか
これっぽっちも 気にしていないのに
ママくんは かんちがいしている みたいだ
だって ボクたちは まったく お金のことを考えたことがない
ねだんとか お金とか 関係ない世界で 生きているからね
そんなことよりもね
ボクのねだん のことで
ママくんの こころが ざらざらしたり くもったり
さっきのひとのこと ちょっと にがてだなーって 思うことのほうが
ボクは ずっとずっと いやなんだ
それにね
「 安そうな ワンちゃんですね 」 って
いわれるほうが もっと どんよりした気分に なったかもしれないよ
まあ わざわざ そんなふうにいうひとは いないと思うけどね
「 何はともあれ ものごとは 単純に
そして 自分が 心地よくなるように 受け止めるほうがいいのよ 」
いつも ボクや自分自身に ママくん いってるじゃない
こんなときに はっきしなきゃね
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