【食の本当の豊かさとは? ~世の中に氾濫する食品添加物と日本の伝統食品について考える~ 『食品の裏側』著者 安部 司 氏 講演会in浜松】
先日は“食品添加物の神様”とも言われている、その業界42年のスペシャリスト、安部司先生の講演会に参加してきました。平日の昼間にもかかわらず満員御礼の約300名でした。講演会の半分以上は食品添加物を使って、いろんなものを作っていただけるため、非常に興味深く、わかりやすい内容です。箇条書きですが、その報告をいたします。
●今日の話は煽る話、脅す話ではない。どうやって食品添加物と付き合っていくかの話。
●食品添加物よりひどいのが農薬、それより1000倍1万倍ひどいのがダイオキシン。学校のプールにひとつまみのダイオキシンで私たちの体はおかしくなる。
●私が「食品の裏側」を書いてから食品添加物は6品目増えている(最後の4品目は農薬)。これらは、アメリカ、ヨーロッパの要請で増えた。日本は農業を放棄しているから、それらの国々からの農作物の輸入をOKしなくちゃいけない。OKしなければ、自動車を輸入しないということになる。
●福岡県で、コンビニで残った弁当を豚に食べさせて、奇形豚が生まれまくった。
●食品添加物においては、国が安全性を保証している→していません。
●添加物の安全性(試験)というものがあり、それに政府は2億円もかけている。
一般毒性試験
• 28日間反復投与毒性試験
実験動物に28日間繰り返し与えて生じる毒性を調べる。
• 90日間反復投与毒性試験
実験動物に90日間以上繰り返し与えて生じる毒性を調べる。
• 1年間反復投与毒性試験
実験動物に1年間以上の長期間にわたって与えて生じる毒性を調べる。
特殊毒性試験
• 繁殖試験
実験動物に二世代にわたって与え、生殖機能や新生児の生育におよぼす影響を調べる。
• 催奇形性試験
実験動物の妊娠中の母体に与え、胎児の発生、発育におよぼす影響を調べる。
• 発がん性試験
実験動物にほぼ一生涯にわたって与え、発がん性の有無を調べる。
• 抗原性試験
実験動物でアレルギーの有無を調べる。
• 変異原性試験(発がん性試験の予備試験)
細胞の遺伝子や染色体への影響を調べる。
●「天然」だから安全はウソ。
例)アカネ色素…発がん性物質だったためリストから削除
例)コウジ酸…カット野菜、アジの開きなどで、色の変色を防ぐために使用するが肝臓がんに。コウジというだけで、麹=良いもの、と勘違いしてはならない。
●食品添加物により感覚が無くなる、味覚がおかしくなる。麻痺して、添加物で「美味しいね!」になっていく。
●海水350cc飲めますか?(塩分10g入っている)しかし、同じ塩分10gのカップラーメンの汁は飲める→味覚が大きく変わったため飲める。
●諸外国での教育や文化の違い
・フランス…小学校から原発の危険性を学ぶ。地震がもし起きた場合は学校が休校になり、大人はガイガーカウンターとヨウ素をすぐ準備する。
・イタリア…小学校から火山の危険性を学ぶ
・日本での危機管理教育は?
・イギリスではファストフードは流行らない→自分で作れるから。
●楽したい、添加物を摂りたくない、というのは無理。
●添加物の働き
①安い(?)
②簡単
③便利
④きれい
⑤オイシイ(?)
日本の優先順位はこうなっている。健康はその次。これらは、農薬と化学物質と原子力のおかげである。70%以上が中国産の食品添加物である。
●摂り過ぎ3兄弟(成分表示の見方)
・塩≒ナトリウム○g × 2.5
・油=脂質○g 大さじ1杯≒10g
・脂質=炭水化物○g/100g
●諸外国との食品添加物や化学物質の考え方の違い
・怪しいものは規制する…ヨーロッパ
・被害が出てから考える…日本
●諸外国との優先順位の違い
・中国の優先順位…安全
・日本の優先順位…キレイ
●諸外国のトランス脂肪酸(アトピーやアレルギー、最悪は心疾患の原因になる)の考え方
・日本を除く、ほとんど全ての国が規制
・日本は少量だからという理由で規制なし
●食品添加物だけで作る食品の実演
・ジュース(レモン・オレンジ・コーラ)、コーヒーフレッシュ、マーガリン、マヨネーズ、おすまし、インスタントラーメンのスープ、たくあんなど。
・コーヒーフレッシュにはミルクは入っていません。油です。
・ポテトサラダにはマヨネーズは入っていません。
・たこ焼きとお好み焼きにかかっているのはマヨネーズではありません。
・携帯タルタルソースはタルタルソースではありません。
・鰹だしは添加物のかたまりです。かつおエキスで鰹だし。こんぶエキスで昆布だし。醤油のエキスをいれると和風だしに変身します。
・食品添加物の70%以上が中国産です。中国に感謝!日本産は醤油のエキスくらい。
・黄金トリオ(食塩、調味料(アミノ酸等)、たんぱく加水分解)を入れると万能だ。
・たくあんの色付けをする黄色4号、5号は、ヨーロッパでは子どもの発達障害として認知。
・たくあんにコチニール色素(虫から取った色素)を加えると福神漬。
・たくあんに他の着色料を加えるとしば漬け。
●食品添加物や農薬をできるだけ避けるには?また食品添加物に対する私たちの考え方。
・地産の顔の見える野菜を買う
・私たちができることを考える(不買など)
・次世代の子どもたちのために優先順位を考える
・小さなお子さんは選べない。親が肝心である。
食品添加物を摂る摂らないは自由です。
便利さを取ると、食品添加物も摂ります。
摂らない場合は手作りで作ったりということで、
手間はかかりますが、比較的健康でいられる。
どちらも、すぐには結果は出ません。
長年の蓄積によって、表れてきますね。
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