夏が来れば思い出す。
セミが鳴く頃になると、
小5のときの自分を
ふと思い出すときがあります。
小さい頃から、
気管支喘息という病気に苦しめられてきて、ちょうど、このくらいのとき、夏休みが半分過ぎたくらいに連れて行かれた病院。
そこでそのまま2年半という歳月を過ごすとは、思ってもみませんでした。
こちらの本は100万部を越えるベストセラーにもなっていて、夏休みの課題図書にもなった、
『さと子の日記』
課題図書になったということからも、
私と同じくらいの年代なら、
見かけた人も多いかと思います。
この、さと子さんと比べたら、
私の気管支喘息など、大したことがないとも思ってしまいます。
先天性胆道閉鎖症。
この本がきっかけで、この病気のことが多く知れ渡り、治療法も、より進んでいったということを聞いています。
お腹に水が溜まってしまう病気。
とんでもなく黄疸がひどく現れる病気。
長く生きられない病気…
私は、何よりも誰よりも、
さと子さんの気持ちに近づくことができる人間かと思います。
なぜならば、
さと子さんと同じ病棟の、同じ学年、同じクラスだった人間だからです。
一緒に学校で学んだ時間は、小5の2学期から小6の途中までで、そう多くありませんでした。
私は養護学校へ通いの学び、彼女は病気が重かったゆえに病棟での自習や、転院、検査、安静が多かったからです。
こんなエピソードがあります。
文集。
これは毎年、全校生徒が自分の思いを文章にして、まとめます。3学期の終わり、全校生徒へ配られます。
ですから、毎年1月とかに書いた記憶があります。
予定通り、中学1年、3学期3月に卒業文集をいただきました。同級生である、さと子さんの作文もあります。
(さとちゃん、ちょっと会ってないけど、元気にしてるんだー)
文集をもらったそのとき、担任の河合先生から報告がありました。実は、さと子さんは、昨年12月に亡くなった、と。
えっ!?
作文は何?
書いてあったものは?
いろんなことに??でした。
同級生の田中さんが代筆したものだと教えてくれました。
衝撃でした。
泣きました。
3月終わりまで、皆を動揺させたくない配慮であったようです。
生きていれば52歳の女性。
14歳で人生を終えてしまった、さとちゃん…
命の尊さ、病のつらさ、友情、家族の思いやり、など、
彼女の言葉で伝わっている、いろんな思いの詰まった本です。
日記の書籍化だから、すごく読みやすい。
多くのこと、大切なことを教えてくれる、
時を越えて、多くの人に読んでいただきたい本です。
あの少年時代があったから、今がある。