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こどもの保育環境

 


保育環境を分類してみると大きく二つに分けることができる。

 

一つは物的環境である。

もう一つは人的環境である。


保育あるいは幼児教育という仕事は、その両者が同時に深くかかわっている行為である。


この二つを分けて考えることは保育実践の場にあっては現実的ではないが、保育を科学する場合この両者を分析的にとらえることが理解しやすいので本稿では分析的に説明を加える。

 


Ⅰ.物的環境と関わるこどもの姿
1.砂場から見たこども理解
保育環境から見たこども理解を進める上には、臨床観察をすることがまずなによりも大切である。

砂場遊びをまず丁寧に観察してみよう。

 

なぜ砂場の砂がプリンやダンゴやご飯になるのであろうか。

私たち大人はこのように考えもしなければ言いもしないし、想像もできない事である。こどもは本気でそのように考えているから不思議である。

 

「プリンです。どうぞ」

 

「甘いおダンゴです。どうぞ召し上がれ」

 

「ごはんですよ。(レンゲの花びらの)ふりかけもかけましたよ」

 

これらは砂場でままごとをしていたときに砂作ったものに対して命名した会話である。

 

なぜこのような世界観が展開されるのか、こどもの立場に立って考えてみなければならない。

 

こどもの脳の中ではどのように物事がとらえているのであろうか。

私たち大人の考え方と違うことに気がつかなければならない。

私たち大人は砂を見たとき客観的に砂としてしかとらえないのである。

 

こどもは自己中心的な心理で生活しているので、自分が感じたままに主観的に命名する。

 

自分でプリンと命名すればプリンに見えてくるのである。

 

発達過程から見てみるとアニミズム(animism:参考資料参照)のなせるわざであることを理解しなければならない。

乳幼児の脳の働きはまだ発達の過程にあって未熟であり、一人称人格の脳の働きであると言える。

 

相手に通じるかどうか、相手が理解するかどうかではない。

自分が分かっていればそれでよいのであって、一方的に自分の考え方を押し出してくるのである。

 

こどもの人格尊重という観点から私たち大人は、一人称人格のこどもをありのままに受け入れることが大切なことなのである。

 

こども理解する上で大事なことは、0歳児ならば0歳児の発達過程を、1歳児なら・・・2歳児なら・・・5歳児ならの発達過程をありのままに受け入れることが、今現在の発達過程に生きるこどもの人格尊重の上から大切なことなのである。

 

さらに発展して砂場遊びでは、砂山がつくられたり、川が掘られて水が流れてダムがつくられたりと、こどもの一人称人格の発達過程と自己中心性という脳の中でつくられたイメージは縦横無尽にさまざまな形となって現れ展開されていくのである。

 

その発達過程の遊びをありのままに受容することがなぜこども理解の上で大切なのかと言えば、その時一人一人のそのこどもなりの自主性・主体性・創造性が養われているからであり、

 

このような体験学習積み上げの上にこどもの脳の神経回路にはさまざまな回路が作り出され、

 

張り巡らされて人格的な成長を遂げて、2人称人格・3人称人格、さらに主観的なものの考え方から客観的な考え方、非自然科学的な考え方から自然科学的な考え方へとこどもの脳は発達していくのである。

 

 

アニミズム時代の主観的で非自然科学的な一人称人格による自己中心的な遊びは次の発達過程に至るための重要な準備期間なのである。

 

やがて客観的で自然科学的で民主主義的な考え方のできる人格に発展していく芽生えの時代なのである。

 

このプロセスをこども理解の上で重視しなければならない。

 

 

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(引用・参考資料:[アニミズムanimism]
ピアジェPiaget,J.が、こどもの思考の自己中心性の特徴として指摘した概念である。

 

すなわち、外界のすべての物事に自分と同じ生命や意志があるとみなすことを指す。

外界を自己と対立するものとしてとらえず、一体化させてしまうため、外界の物事と自己の内側にある特性とを混同してしまうのである。

 

アニミズムは、何に対して生命や意志を認めるかによって4つの段階に区別される。

第1はすべての物事に対して、第2は動くものだけに、第3は自分の力で動くものに、第4は動物(または動物と植物)だけに生命や意志を認める。かならずしも第1から第4段階へ順次進むとは限らず、逆転することもある。

また同一のこどもが異なる段階に属することもある。ピアジェは自己中心性によるこどもの世界観として、アニミズムのほかに実念論、人工論をあげている。これらの世界観は、未開民族がすべてのものは魂を持つと信じる原始信仰と共通している。
 

引用・参考文献
加藤紀子 [アニミズムanimism](ミネルヴァ書房「保育用語辞典」2004 年)

 

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塩川 寿平(1938年生まれ)


   大地教育研究所所長
   大中里こども園名誉園長
   元静岡県立大学教授


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活動:こども環境学会アドバイザー
    愛育心理研究所インストラクター

著書:「名のない遊び」「コーナーのないコーナーの保育」 
    「どろんこ保育」「大地保育環境論」等   
(出版社 フレーベル館=電子書籍化も有ります)

 

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    ジュッペちゃんの保育のこころ
子どもを大切にするということは人としてであって、
私たちの"大地保育"は大人も童心人となって、
子どもと共に独立国(子どもの園)を創造するということ
ではないかと思います。 
いつでも・どこでも・いつまでも子ども心を忘れずに
『名のない遊び』等を大切にしたいと思います。

 

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勤務先:大中里こども園
静岡県富士宮市大中里837
姉妹園野中こども園(旧野中保育園 創立1953年)

 

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社会福祉法人柿ノ木会「大中里保育園」は、
平成30年度から
幼保連携型認定こども園に移行し、
施設名称を「大中里こども園」と改めました。
今後ともよろしくお願いいたします。

 

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