こんにちは。じゅっぺちゃんです。

 

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⇧前回の続きですカエルカエルカエル

 

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4.どろんこ遊びから見たこども理解

 


ここでは、こども理解のために一つの遊びを多角的観点から分析したうえで、

 

豊かな保育内容の遊びとして総合的に評価する事例として「どろんこ遊び」を選択した。

 

どろんこ遊びは乳幼児の遊びの王様といわれるくらいに世界中のこどもたちが多く好む遊びである。

 

大人が最も嫌う遊びであるにもかかわらず、こどもが最も好む遊びである。

 

なぜであろうか、この遊びの謎を解くことはこども理解の重要なカギである。

 

まず初めに実体としてどろんこ遊びの種類はどのようなものがあるか分析してみる必要がある。

 


1)どろんこ遊びの5つの種類〔環境〕とこども理解


①【種類】自然発生的などろんこ遊び


【場所】戸外の遊び場のさまざまな場所


【内容】雨上がりの園庭や、水遊びの発展で見られる。

2歳前後から遊び始める。

自然発生し、こど もが満足した時点で自然に終わっていく。


【こども理解】土があれば、どんな所でもごく自然にこどもたちは遊びだします。

 

まごと遊び、お団子を作り、水たまり遊び、虫探し、穴掘り、落とし穴、川作りなどなど、次から次へとどろんこ遊びが生まれます。

 

 

 

ここでは特に水たまり遊びを取り上げて考えてみましょう。

 

 

 

雨が降った後に水たまりを見つければ、幼児(2~3歳のこどもがいちばんよくするのですが)はすぐに水たまりの中に足を踏み入れてピチャピチャと跳びはね始めます。

 

どろ水の飛び散る様子を楽しみながら、自身の力を試し、誇示しているのです。

 

自分たちでも水道の水をまき散らし水たまりを作り、「水遊び」から「どろんこ遊び」に発展させてしまいます。

 

その時のこどもたちの顔を見ていると、何とも幸せそうな笑顔に満ち満ちています。

 

大人はよく「そんなことをさせる必要がありますか」とか「そこまでやらせるのか」と言います。

 

そのような疑問を投げかける人は、本当にはこどものことを知らないのです。

 

よく考えてみてください。大人の側から「させる」とか「やらせる」という事実はどこにもないのです。

 

こども自身が自ら興味を持って自発的、主体的に始める遊びなのです。

 

これはこどもが生きている証の表現なのです。

 

人間は、幼なくても歳をとっていても、生きている限り『生きている証』として年齢にあった多様な表現をし続けます。


どろん遊びというものは、木登りをしたり、サッカーボールをけったりすることと同じ表現の一つなのです。

 

遺伝子DNA に組み込まれたプログラムなのです。

 

人間という生命体が成長し続ける一つの過程です。

 

こどもは無駄なことを一つもしません。

 

その子にとって必要な表現をし続けるのです。

 

自然発生的なこのようなどろんこ遊びは、見守ってあげることが必要なのです。

 

大人がなすべきことは

 

どろんこ遊びの後に「体を洗って上げたり」、「洋服を洗濯してあげたり」といった、

 

発達過程から考えて未成熟なこどもに責任を負わせるには無理な部分について、適切な援助『手伝い』をすることです。

 


②【種類】人工による小規模な場のどろんこ遊び


【場所】箱庭型どろ場。戸外でも室内でも


【内容】人工的な囲いの中に土を入れて行うどろんこ遊び。

 

3の「常設どろ場」を設置しにくい園でも実現できる。また、本格的などろ場には心理的抵抗感があり、まだ早いと思われる年少児でも十分に遊ぶことができる。

 


【こども理解】屋外はもちろん、その気になれば屋内でも出来るどろんこ遊びです。

 

木の枠などを作って、そこに土と水を入れれば出来上がりの「箱庭的どろ場」です。

 

(*ちなみに「どろ場」という言葉は、砂場に対して筆者が考案した言葉です)。

 

このどろ場は年少児でも遊ぶことができますし、次に述べる本格的などろ場の設置が難しい園でも、これなら容易に作ることができてどろんこ遊びをすることができます。

 

木枠の中に入れる土の種類を選べるところも特徴です。

 

 

近くにある土をいただいてきてもいいし、農協などの業者から手に入れることもできます。

 

今日の社会状況にあっては、特に貴重な体験学習として土の重さを実感するために(地主の方と話をして)、こどもたちといっしょに土を取りに行く保育なども考えたいものです。

 

土をより深く理解するためにも貴重な経験として、肉体を通してこども自身に土の重さを実感させたいものです。

 


③【種類】本格的などろんこ遊び

 


【場所】常設どろ場

 


【内容】基本的に1年中いつでも入れる本格的などろ場。

 

主に年中児から年長児が遊ぶことが多い。

 

カタルシス効果(浄化作用)があり、治療効果をねらう。

 

こどもが自然発生的に入る場合と、保育者が誘ってクラスの活動として入る場合がある。

 


【こども理解】常設の大規模などろ場でこどもが自由に遊ぶ場。

 

土そのものと向き合うために、ここには余分な遊ぶ道具は一切入れません。

 

そして、1年中、いつでも好きな時に入れるようにしておくことが理想です。

 

入り方には大きく2種類あります。

 

こどもたちが自発的に入る場合と、保育者が誘う場合があります。

 

保育者がさそう場合、友達関係が複雑でクラス内にトラブルが多くなってきたときや、イライラが募ってきたと判断した時に、カタルシス効果(浄化作用)を考えて始めることもあります。

 

季節的には4月から6月のが最も多く見られ、遊びの時期です。

 

 

どろんこ遊びを満喫すると、それ以後は水遊びやプール遊びの方にこどもたちの興味関心は移ってゆきます。

 

この常設どろ場での遊び方は、こどもたち一人一人の個性が違うようにさまざまです。

 

何ヶ月も入り続ける子いるし、周囲をぐるぐる回って見るだけで、1回も入らない子もいます。

 

なおこの常設どろ場だけを「どろんこ保育」と言うのだと誤解している人がいますが、これは誤りです。

 

分析した5種類のどろんこ活動全体が「どろんこ保育」です。

 

どろんこ遊びが終わったら、まず初めに専用のタライでどろをとして、保育者に手伝ってもらってシャワーやお風呂に入って体をきちんと洗います。

 


④【種類】土仕事としてのどろんこ遊び


【場所】花壇や田畑などのさまざまな場所


【内容】植物や動物の世話を通していのちを育む。

 

またその体験を通していのちの貴さを学ぶ。

 

栽培する植物の種類は、保育者がそれぞれの年齢にあったものを選択し、保育者がやり方を見せながらすすめます。


【こども理解】畑や花壇といた植物栽培、また動物飼育の中にある土仕事全般を指します。

 

土を通して植物や動物といったいのちとかかわっているわけで、育てたり世話をするといった作業をしながら、いのちの尊さに触れることができます。

 

栽培の場合は草や虫をとったり、水やりをします。

 

保護者の協力を得ながらすすめる作業もあります。

 

そのように世話をしていても、枯れてしまったり、失敗してしまうことがあります。

 

しかし、そういう姿も見せていくことが重要です。

 

成功する達成感ももちろん必要ですが、失敗の経験も必要なことなのです。

 

小さな種子から芽が出て自分の背丈よりも大きなヒマワリになる、飼っていた小動物が死んでしまったら土に埋めて自然に返す。

 

こうした土仕事からいろいろなことを学びます。

 

 


⑤【種類】粘土の造形や焼き物作り


【場所】美術室や戸外のコンクリート床など


【内容】固く乾燥した粘土を砕くことから始まる造形活動。

 

3歳児の時から粘土という素材に取り組み、5歳になると窯で焼いて作品を作る。

 

作品を完成させるためには天日干し、素焼き、本焼きなどがある。

 


【こども理解】どろんこ遊びでの表現活動が、粘土の造形です。

 

こどもたちは、まず重い粘土を一生懸命運ぶことから素材そのものと向き合います。

 

乾いている場合は砕いて細かくし、水をかけて少しずつ柔らかくしていきます。

 

適度な柔らかさになったら、ちぎったり、手でむしったり、体全体でぶっつかったりします。

 

そんな活動からやがて造形的な活動へと移っていきます。

 

できあがったものの中には、芸術的作品と言えるものも少なくありません。

 


*引用・参考文献:塩川寿平著『どろんこ保育』フレーベル館 2006 年12 月15 日

 

 


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塩川 寿平(1938年生まれ)


   大地教育研究所所長
   大中里こども園名誉園長
   元静岡県立大学教授


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活動:こども環境学会アドバイザー
    愛育心理研究所インストラクター

著書:「名のない遊び」「コーナーのないコーナーの保育」 
    「どろんこ保育」「大地保育環境論」等   
(出版社 フレーベル館=電子書籍化も有ります)

 

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    ジュッペちゃんの保育のこころ
子どもを大切にするということは人としてであって、
私たちの"大地保育"は大人も童心人となって、
子どもと共に独立国(子どもの園)を創造するということ
ではないかと思います。 
いつでも・どこでも・いつまでも子ども心を忘れずに
『名のない遊び』等を大切にしたいと思います。

 

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