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第1回 幼児教育・保育無償化に賛成 

第2回 先生の人材難時代に

第3回 定員割れ 園児の奪い合い どうする

第4回 幼児教育と小学校との円滑な連携を

キラキラ

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こんにちは。じゅっぺちゃんです。

 

岳南朝日新聞 2018年 平成30年 8月29日 水曜日 掲載されました。

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幼児教育・保育を考える ④

― 幼児教育と小学校との円滑な連携を ―

シリーズ寄稿 塩川寿平(元静岡県立大学教授 大中里こども園名誉園長)

 

①幼・小12年間の連携

平成30年4月1日から施行された新法令による、幼稚園教育要領(文科省)、保育所保育指針(厚労省)、幼保連携型認定こども園教育・保育要領(内閣府)では、いずれの乳幼児施設においても教育・保育内容の同一性と小学校との円滑な連携が求められました。

 

根本的な幼児教育改革であり、0歳児から就学前までの一貫した教育を保障する新法令が確立されたのです。

 

今回の改革で大きく変わった事は、日本の国では長い間、教育は義務教育の7歳児からと考えてきましたが、世界レベルの著名な研究結果もあり、0歳児からの教育にこそ将来の所得の向上や、生活保護受給率の低下等の効果があると評価され、例えばイギリス、フランス、韓国においては、所得制限を設けずに無償化が行われ、なおイギリスでは5歳から義務教育が行われています。

 

そして、0~6歳児の「育ち(養護・保育)」と「学び(教育)」の連続性の延長線上にある、小学校の7~12歳児への一貫した12年間の連携が重要な課題となりました。

 

②幼児期の教育の基礎の上に

まず初めに誤解されがちな解釈について注意しなければなりません。

 

それは『幼・小の連携』と言うと、早期教育と理解する人が多いのです。

 

そして小学校1年生の教科書を先取りしたような教材を使って準備教育を始める方がいることは、困ったことです。

 

このような解釈は新制度の理念の不勉強から来る誤解です。

 

確かに小学校との連携が義務付けられておりますが、新学習指導要領(文科省)の小学生の受け入れは『幼児期の教育の基礎の上に』行われることが明記されております。

小学校の教育を降ろしてくるのではありません。その逆です。

 

『幼児期の教育の基礎の上に』ということですからご安心ください。

 

様々な幼児教育・保育施設の『幼児期の教育の基礎の上に』小学校の教育が始まるのです。

 

③小学校学習指導要領を理解する

小学校学習指導要領(平成29年3月告示~平成30年4月実施)前文1部を紹介します。

 

【(前略)児童が学ぶことの意義を実感できる環境を整え、一人一人の資質・能力を伸ばせるようにして行くことは、教職員をはじめとする学校関係者はもとより、家庭や地域の人々も含め、様々な立場から児童や学校に関わる全ての大人に期待される役割である。

 

『幼児期の教育の基礎の上に』、中学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら、児童の学習のあり方を展望していくために広く活用されるものとなることを期待してここに小学校学習指導要領を定める。 】と、『幼児期の教育の基礎の上に』小学校教育が有ることをしっかりと理解しなければなりません。

 

④「環境による」教育の基礎

3~5歳の幼児教育年齢について、幼稚園教育要領(平成29年3月告示~平成30年4月実施)の「幼稚園教育の基本」を見てみましょう。

 

【幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、幼稚園教育は、学校教育法に規定する目的及び目標を達成するため、幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うものであることを基本とする。

 

このため教師は、幼児との信頼関係を十分に築き、幼児が身近な環境に主体的に関わり、

環境との関わり方や意味に気付き、これらを取り込もうとして、試行錯誤したり、考えたりするようになる幼児期の教育における見方・考え方を生かし、幼児と共によりよい教育環境を創造するように努めるものとする。】

 

以上のとおり、「環境による」教育を行うことが、幼児期の教育の基礎であることを常に心がけなければなりません。

 

⑤「遊びによる」教育の基礎

さらに「幼児教育の基本」見てみましょう。

 

【幼児の自発的な活動としての遊びは、心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して、遊びを通しての指導を中心として、総合的に達成されるようにすること。】

 

以上のとおり、「遊びによる」教育を行うことが、幼児期の教育の基礎であることをしっかりと学ばなければなりません。

 

⑥育てたい「3つの柱」

新法令では、幼稚園・保育所・幼保連携型認定こども園の育てたい「3つの柱(*知識及び技能の基礎、*思考力・判断力・表現力等の基礎、*学びに向かう力、人間性等)」の記載が共通になりました。

 

これは『生きる力』の基礎となるもので、遊びや生活を通じて一体的に育まれるものです。その後の小学校、中学校、高等学校を卒業する段階で身につけておきたい力を見据えながら、幼児教育においても発達相当に育てたい「 3つの柱」です。

 

⑦育てたい「10の姿」

 また、新法令では、幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」が示されました。

 

これは保育者と小学校の教師が共有することで、幼児教育と小学校教育との連携やその後の指導がスムーズに行われることを目指すものです。

 

*健康な心と体 

*自立心 

*協同性 

*道徳性・規範意識の芽生え 

*社会生活の関わり 

*思考力の芽生え 

*自然との関わり・生命尊重 

*数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚 

*言葉による伝え合い 

*豊かな感性と表現

です。

 

幼・小の連携において『幼児教育の質の向上』となる大きな意味を持つものになります。

 

 

 

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塩川 寿平(1938年生まれ)


   大地教育研究所所長
   大中里こども園名誉園長
   元静岡県立大学教授


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活動:こども環境学会アドバイザー
    愛育心理研究所インストラクター

著書:「名のない遊び」「コーナーのないコーナーの保育」 
    「どろんこ保育」「大地保育環境論」等   
(出版社 フレーベル館=電子書籍化も有ります)

 

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    ジュッペちゃんの保育のこころ
子どもを大切にするということは人としてであって、
私たちの"大地保育"は大人も童心人となって、
子どもと共に独立国(子どもの園)を創造するということ
ではないかと思います。 
いつでも・どこでも・いつまでも子ども心を忘れずに
『名のない遊び』等を大切にしたいと思います。

 

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勤務先:大中里こども園
静岡県富士宮市大中里837
姉妹園野中こども園(旧野中保育園 創立1953年)

 

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社会福祉法人柿ノ木会「大中里保育園」は、
平成30年度から
幼保連携型認定こども園に移行し、
施設名称を「大中里こども園」と改めました。
今後ともよろしくお願いいたします。

 

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