(photo : 2004.7)
連載_幼児教育無償化の明日を思う_vol.5
(全7章)
5、施政方針演説と私
私はこの演説を聞いて、平成29年の無償化の源流は、今や大河の流れとなったことを実感し、身の震えが止まりませんでした。財源となる消費税10%のあり方は、これからも国民的議論を尽くさなければなりませんが、その増収約5.2兆円のうち、毎年1兆円が幼児教育無償化に投入されるのです。概算ですが幼児1人について、毎年60万円ほど使えることになるのです。
私は人生の60年間を研究者・教師として、大学や幼児教育・保育現場に立ち続けて、『この業界は地方では「子どもがいない」「先生のなり手がいない」等、また都会では「待機児童の問題が解決しない」等、もうどうにもならない絶望的なところにきている』ことを実感していました。
70年ぶりの大改革に国民の1人として私は、『この大河』に身も心も捧げる覚悟です。
どうか1兆円を幼児教育に使わせてください。
すべての国民が優先順位で第1番に『子どもに関心を持つ国』を作りたいのです。
いや、これをきっかけに子どもを対象に国政と地方自治のすべての力を結集して『子ども中心の日本政治』を創造し、すべての国民の知恵とエネルギーを結集する『子どもにより添う政治』に着手すべきであると熱望しています。
なぜならば、幼児教育無償化はきわめて政治問題であり、日本国民はすべて『税と社会保障の財政健全化』という政治問題に取り組まなければならないからです。
そして今年は選挙の年です。
政治に関心を持ち、国民一人一人が直接政治に関わらなければならない年なのです。
つづく
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今回の記事は、2019.2-3月、岳南朝日新聞に連載されました。
テーマ寄稿「教育」=『幼児教育無償化の明日を思う』
塩川寿平(元静岡県立大学教授・大中里こども園名誉園長・富士宮市野中東町在住)
(岳南朝日新聞の第1回目の掲載日:平成31年2月28日)
内容:①富士宮市議会11月定例会 ②毎年1兆円を使うことになる
③幼児教育無償化の源流
(岳南朝日新聞の第2回目の掲載日:平成31年3月2日)
内容:④首相の施政方針演説 ⑤施政方針演説と私
(岳南朝日新聞の第3回目の掲載日:平成31年3月3日〈完〉)
内容:⑥無償化の経緯と意義 ⑦まとめ・無償化の責任について