(photo:2006.8)

 

 

連載_幼児教育無償化の明日を思う_vol.7

(全7章)

 

7、まとめ:無償化の責任について

 

さて、無償化を明日に控えた日本はどうか。

 

各国の現状と条件の違いを考慮し、単純に比較すべきではありませんが、日本では『保育の質の責任』は、認可外施設の無償化実施について5年間の猶予期間を設けて『対象施設は等しく、公平性と保育の質の観点から国の指導監査基準を満たすことが条件(有識者会議)』と責任について担保されています。

 

また、富士宮市の場合、幼稚園・保育所・こども園・児童発達支援・小規模保育・家庭的保育・事業所内保育・居宅訪問型保育・企業主導型保育等、認可施設と認可外施設と合わせて約40~45施設がありますが、保育の質の向上に関する責任問題として、国の指導監査基準の指導が行われれば保育の質は担保されます。

 

また、各施設において直接幼児教育とかかわる従来の園長先生や、副園長先生は、経験だけの方がおられますが、まだ資格を取得されていないようであれば、無資格では責任を取ることができません。

 

無免許運転で自動車を運転しているようなものです。

 

責任を取るためには通信教育により必ず国家資格の幼稚園免許と、保育士資格を取得して、幼児教育の指導に当たり、職務上の責任を果たしてください。

 

同時に、民間法人の実質的経営者である理事会も従来ありがちな名誉職的な理事会では困ります。

 

理事長のみではなく、一人一人の理事さんも率先して理事研修を受けて、地域社会に貢献できる創造的な法人独自の企画・立案・アイディアを出して、理事会としての実質的なプラスアルファの働きを希望してやみません。

 

 

国民の尊い税金を幼児教育無償化のために毎年約1兆円使うのです。

 

また、1人の幼児が1年間におおよそ60万円を使うのですから、その責任は厳しいものでなければなりません。保育の質の向上を成し遂げるためには、責任の所在を明確にすることです。

 

韓国の幼児教育無償化の報告は、責任の所在を明確にすべきことを示唆していると思います。

 

むすびに、富士宮市の3~6歳児の約4,000人の幼児が等しく公平に質の高い幼児教育が受けられますことを祈願して、心から『明日の幼児教育無償化』の成功を祈ります。

 

 

つづく

 

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今回の記事は、2019.2-3月、岳南朝日新聞に連載されました。

 

テーマ寄稿「教育」=『幼児教育無償化の明日を思う』

塩川寿平(元静岡県立大学教授・大中里こども園名誉園長・富士宮市野中東町在住)

 

 

(岳南朝日新聞の第1回目の掲載日:平成31年2月28日)

内容:①富士宮市議会11月定例会 ②毎年1兆円を使うことになる 

③幼児教育無償化の源流

 

(岳南朝日新聞の第2回目の掲載日:平成31年3月2日)

  内容:④首相の施政方針演説  ⑤施政方針演説と私

 

(岳南朝日新聞の第3回目の掲載日:平成31年3月3日〈完〉)

  内容:⑥無償化の経緯と意義  ⑦まとめ・無償化の責任について