みなさま こんにちは。

じゅっぺちゃんです。

今回は

愛育心理研究会『愛育通信』への寄稿

—afterコロナ:未来へつなぐ大地保育—

を掲載します。

 

 

 

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第1章:愛育心理研究会『愛育通信』担当の餘家清様からお手紙

 

塩川寿平先生

 

お元気にお過ごしのことと存じます。

コロナ禍がなかなか終息せず、大変な時代になってきました。

首都圏の緊急事態宣言解除がどうなるのか気になっておりましたが、 3月

7日より21日まで14日間の延長が決まりました。

今月25日にはオリ・パラの聖火ランナーが走り始めますので、それまでにオ

リ・パラ開催方法の方向性も出てくるものと思います。

ただ、3月末に緊急事態宣言が解除されたとしても、7月から始まるオリ・パ

ラも現状では海外の観客は入れない方針のようですし、残念ながら2021年

6月の第45回愛育心理研究大会の開催はやはり無理だろうと思っています。

 

静岡県富士宮市で見せていただいた野中こども園は、

格式の高い庄屋屋敷をこどもの楽園に大改造されたもので、

富士を仰ぎ見ながらどろんこ保育を実践されてきた皆さんに敬意を表します。

 

ところで、コロナ終息後の子育てや教育は、現在とはいろいろ異なったものに

なるのかもしれません。たとえば、そのような視点で、変る部分、

変えてはいけない部分についての原稿をお願いできないかと相談させていただ

きます。テーマはお任せいたしますので執筆をお願いできませんでしょうか。

◎テーマ:自 由     ◎締切り:3月末ではいかがでしょうか

◎原 稿:13字詰め、60~80行程(780~1040字)

 

このようなご多用なときに原稿をお願いさせていただき恐縮です。

ご検討いただけましたら幸です。

くれぐれも健康に留意されてお過しください。

 

餘家清 愛育心理研究会「愛育通信」担当

 

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第2章:塩川寿平の承知のお返事

 

餘家清様

ありがとうございます。

喜んで書かせていただきます。

このような状況の下にあっても大切な事は、

未来につないでいかなければならないと思います。

ニール霜田の哲学は「未来につなぐ」教育遺産です。

塩川豊子の大地保育は「未来につなぐ」保育遺産です。

その重要な意味を充分に理解している「未来につなぐ活動」は、

私たちの仕事です。

 

このようなコロナ禍中にあって、

研究大会を開くことのできない災害下にあっても、

「愛育通信」で『未来につなぐ』使命を!

果たそうではありませんか!

喜んで書かせていただきます。

原稿依頼ありがとうございます。塩川寿平

 

【追伸】

現在、このような状況下ですので私は、

野中保育園 開園 昭和28年(1953年)~

来たる2023年の創立70周年記念にむけて、

『創造的保育文化財を伝える会』の

大地教育研究所 所長 塩川寿平の

「未来につなぐ」活動として、

添付資料・・・教育小説『大地保育ものがたり』を、

ブログで全世界に発信しております。

お時間のご都合のつく時に開いていただけるとありがたいです。

 

 

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第3章:愛育心理研究会『愛育通信』への寄稿

—afterコロナ:未来へつなぐ大地保育—

 

愛育心理研究会 編集部『愛育通信』の原稿依頼の趣旨は、

『コロナ終息後の子育てや教育は、現在とはいろいろ異なったものになるかもしれません。たとえばそのような視点で、変る部分、変えてはいけない部分についての原稿をお願いします』(原稿用紙780~1040字)

 

テーマ  —afterコロナ:未来へつなぐ大地保育―

 

  1. コロナ感染症流行時の保育

コロナ感染症下の2020年度保育は、【コロナ対策特化保育】と命名しても過言ではありません。ニイル霜田の自由教育や、大地保育(=子ども主体の保育)は隔離された少人数で限られた場面で実践されていましたが、多くの場合は保育士主導の感染症を充分に配慮した指示的保育でした。

 

 

  1. コロナ感染症終息後の保育

日本中にワクチン接種が行き渡るのは2021年度いっぱいでしょう。その間の保育は感染症を配慮した指示的保育で、【コロナ対策特化保育】が継続されることでしょう。さらに2 ~3年後にワクチン効果によりコロナ感染症は終焉すると私は推測しています。

 

  1. afterコロナ:変る保育状況

 コロナ感染症の流行をキッカケとした最大の変化は、デジタル化やテレワークや AIの大人社会の急激な進行です。激変する新政治・新経済と格差生活の渦の中の家族・家庭教育と保育園はどのようにコラボするかが問題です。

 

  1. afterコロナ:変えてはいけない保育

(その1)アタッチメントとスキンシップが基本

大人社会の構造が変わったとしても、乳幼児心理や精神の発達過程が変わるわけではありません。コロナ感染症時代には不十分であったアタッチメント(愛着)とスキンシップ(皮膚接触)を満たす保育が何より大切ですから取り戻しましょう。

1対1の愛着関係を長期間継続する生活は、乳幼児に限らず大人にとっても誰でも必要なことです。なぜならばオキシトシンという幸せホルモン(脳内物質)が出るからです。

この【抗ストレス効果もある安全地帯】の関係性は、従来は赤ちゃんとお母さんとの絆を中心に考えていましたが、今日では乳幼児自身が能動的、積極的に他者への相互作用を求めようとしている点が注目され、母親に特定した関係ではなく、乳幼児と養育者の両者が情緒的な絆で結ばれてはじめて乳幼児の情緒の安定が育つことが知られるようになりました。

 

(その2)五感・ 六感を育てる保育が基本

幼稚園教育要領では「環境による教育」の大切さが説かれています。大地保育の創始者塩川豊子(1915~1999)は、『汲みつくすことのできない宝庫である大自然に挑む中で、子どもたちが育てられていく保育』を提唱しました。

自然と関わる体験の中に五感・六感の感動体験が満ち満ちているからです。感動的に幼児期を過ごすことにより幸せホルモン(オキシトシン)は蓄えられて安定した精神により、積極的に自らの興味に基づく保育環境に挑戦し、自ら個性と能力を育んでいくのです。無気力の子どもを育てないためにも感動体験に満ち満ちた保育を心がけましょう。

 

(その3)愛とユーモアのある保育が基本

乳幼児の発達過程を学びましょう。特にアニミズムの精神構造が生み出す乳幼児独特の保育文化を大切にしましょう。

例えば、幼児画の見方です。頭足人間が描かれたり。太陽に目や口が描かれます。また、どろんこ遊びをすれば『ソフトクリーム』『チョコレート工場』、時には『うんこ』と大喜びします。そして、次々と創造的な『名のない遊び』をしますから、ほとんど大人には理解できません。

大人は愛とユーモアの受容的態度で、乳幼児の人格尊重に心がけましょう。

激変する大人社会の影響をもろに受けないように防御する壁になりましょう。

 0~5歳児の発達過程を受容しましょう。心の底から乳幼児を愛することが必須条件になります。

 

(その4)第1次産業の生活体験を!

これからの大人の生活は、デジタル化・AI化・テレワークの生活になるでしょう。

しかしながら0~5歳児の保育・幼児教育は、大人の生活とは根本的に異なります。

私は、原点に返って「フレーベル理論と実践」・「倉橋惣三理論と実践」・「ニイル霜田理論と実践」・「大地保育理論と実践」に、将来の保育・幼児教育の有り方を見い出します。

なぜなら、モノを生み出す農業・林業・水産業の生活を体験学習していくことが理にかなっていると思うからです。

ここで意識しなければならない事は、日本の産業構造は偏っているという事実です。国際的なグローバル経済化により、第1次産業や、第2次産業は外国に依存しているのです。現在の日本は第3次産業と第4次産業中心です。

ですから、あえて保育園では園児と共にキュウリやナスを育てましょう。ウサギや鶏を育てる保育をしましょう。プランターでも良いのでお花を育てましょう。バケツによるイネ作りや米作りにも挑戦しましょう。

保育園の近くにあるならば、農家をたずねましょう。林業や水産業の現場を訪ねる園外保育をしましょう。

デジタルやAIやテレワークやバーチャル教材による保育・幼児教育は、それより先にモノ作りを取り入れた生活体験の基本があってからのことです。

 

以上、現在、私が思うことを述べさせていただきました。よろしくお願いします。

では、愛育心理研究会 餘家清様

コロナ禍中。ご自愛ください。塩川寿平

 

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以上、

教育小説「大地保育ものがたり」(第19話)でした。